ライフスタイル考現行


2.「住宅」の隘路
鈴木:  最初の頃は、律儀に「ライフスタイル」という言葉を年間テーマに含めていたけど、近頃は入れていませんね。内容としてはリノベーション関連が増えています。
松村:  最近の建築計画分野を見て思うんですが、高齢者関係以外で「住宅」の研究をしている人はなかなかいない。かつて「住宅」は大きな研究分野で、例えば普通のマンションの間取り分析などをしている人がいたりもしました。でも現在はテーマにならない感じがある。リノベーションや移住に着目した研究が多いのは、これらの方が「生きる」ということに近いからだと思うんですよ。この連載も「ライフスタイルと住宅」というタイトルだったら、こんなに続かなかったんじゃないかな。
佐藤:  平成30年度のテーマが「まちを居心地良くする人々」で、令和元年度は「「私」と空き家の新しい関係」です。確かに連載タイトルが「ライフスタイルとすまい」でなかったら、こうしたテーマを構えることはなかったかもしれません。
松村:  ライフスタイルはいつの時代でもテーマになるけれど、「住宅」にはもうテーマ性がないのかもしれません。行くあてがない感じになっている。住団連というのは、住宅メーカーや工務店等の団体の集まりですが、現在はこれらの企業にもはっきりした行くあてはなくなってしまっている感じがします。
鈴木:  この連載の年間テーマと取材はめちゃめちゃ面白いですけどね。おかげで、神山町はじめ注目すべきところを、超有名になる少し前に話を聞けてたいへん勉強になっています。



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