ライフスタイル考現行


4.民家を取り壊す理由
菊地:  我々がいま取り組んでいる茅葺き民家のプロジェクトを紹介します。この茅葺き民家は江戸時代に建てられた建物で、40年間ほど空き家になっていましたが、それを我々の研究室で借りていろいろな活動に使わせてもらっています。この建物が取り壊されそうだという話を聞いたので、持ち主にお願いしてしばらく貸してもらうことにしました。まず最初に、汚れていた室内を学生が掃除し、カマドを修理して、それを使ってご飯を炊いて集落の人たちと食事会を開きました。
続いて、傷んでいる茅葺き屋根を自分たちで修理するプロジェクトを企画しました。この民家は15年ほど前に茅の葺き替えをやっているのですが、その際に1面だけやり残していて、そこが痛んだ状態でした。その修理を素人の自分たちでやってみようということで始めました。日田や阿蘇や佐賀の茅葺き職人の方々に指導・協力してもらい、数日前に差し茅のワークショップを開催しました。
ただ、建物を使えるようにするにはもっと修理が必要だし、この建物が今後も維持されるかどうか分からないので、いろいろ迷っているところです。
松村:  そもそも、この民家の持ち主は何故取り壊そうとしているんですか。
菊地:  持ち主の方は70代ですが、このまま残して子供の世代に迷惑をかけたくないと考えているようです。自分が元気なうちに取り壊して清算したいと思っている。でも、これまで40年近く大事にしてきたんだし、もったいないですよね。



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