「東京大学住宅都市再生研究センター」新設の東京大学・大和ハウス共同記者発表
(令和7年9月29日、東京大学ダイワユビキタス学術研究館) における講演より
東京大学は、大和ハウス工業様より多大なるご寄付をいただき、10月1日に東京大学住宅都市再生研究センターを設置します。大和ハウス工業様では、郊外団地再生に向けたチャレンジを進めておられます。住宅都市再生は、少子高齢化、気候変動、生物多様性などの問題に包括的に対応することが必要であり、郊外住宅団地がその一つの典型的なモデルになるのではないかと考えられます。本センターが進める研究・活動は、住宅市街地や都市の再生デザインに係る各研究分野を横断し、新たな学術領域を形成すること、住宅都市マネジメント分野の技術革新、住宅都市の再生とマネジメントに必要な政策・制度の設計を考えています。学術領域での成果や技術革新を実施するための政策・制度を我々が立案・構想・設計して、国や自治体による実現を進めることが、最重要と考えられます。
(1) 東京大学住宅都市再生研究センター新設について
(東京大学総長藤井輝夫氏より)
本会場のダイワユビキタス学術研究館は、大和ハウス工業様からご寄贈いただいた建物で、2014年に開館しました。それ以来、ご寄贈いただいた趣旨に従いまして、学術交流の拠点として多くの学生研究者が集い、創造と発展の場として活用されてまいりました。さらにこの度、大和ハウス工業様より多大なるご寄付をいただき、東京大学は10月1日に東京大学住宅都市再生研究センターを設置いたします。本学は大学独自基金の運用益を事業に活用し、長期的安定的に研究を推進する仕組みとしてエンダウメント型経営を推進しており、本センターはエンダウメント型研究組織の3例目でございます。
本センターでは、住宅都市再生の課題解決に向けまして、多くの関連企業や国際機関、海外の研究機関と連携をして横断的研究を推進し、技術・制度のイノベーションを先導、加速して、社会制度や政策課題の解決に尽力してまいりたいと思います。
大和ハウス工業様の創業者であります石橋信夫様の言葉に、何をやったら儲かるかではなく、どういった商品や事業が世の中の役に立つかを考えるというものがあると伺っております。この理念はまさに世界の公共性に奉仕するという私どもの使命とも深く共鳴するものと考えます。本学は2021年に定めました基本方針UTokyoCompassにおいて、多様な人々との対話を通して人類社会が直面する様々な地球規模の課題、その課題の解決に取り組むという意思を表明しております。この度、志を同じくする大和ハウス工業様と手を取り合って、社会に資する研究に共に挑戦できる機会をいただきました。本センターを持続可能な社会の実現を先導する研究組織としてまいります。
(2) 大和ハウスの住宅団地再耕の取組
(大和ハウス工業株式会社代表取締役会長兼CEO芳井 敬一氏より)
我が国の住宅都市が、人口減少、少子化、高齢化などの社会的課題に強く影響を受けることは明らかでございます。全国で約3千箇所あると言われる住宅団地は、その先進地となっています。住宅団地をはじめとする住宅都市再生に係る複合的課題を研究し、最先端の情報技術を活用してその解決に向け、本格的に取り組むセンターが設立されることは、実に時期を得たものであると考えております。
弊社では1962年より、ネオポリスと呼んでおります、全国61箇所、延べ7万区画、約30km²の、大規模戸建て住宅団地を開発してまいりました。開発から40年以上経過した団地の多くは、少子高齢化や将来的な空き家・空き地増加、建物老朽化などの様々な課題を抱えております。そのような中で、弊社は2015年に兵庫県三木市において、郊外型戸建て住宅団地再生事業に着手しました。これはSDGsの目標12番目である「つくる責任、つかう責任」をしっかりやっていくということになります。そして2019年からは横浜市上郷ネオポリスにおいて、リブネスタウンプロジェクトをスタートし、地域住民の皆様とともに、団地再耕と団地を再び輝かす事業に取り組んでいます。2021年には、社内に専門的部署である、リブネスタウン事業推進部を設置いたしました。2022年には、ネオポリス再耕アイデアコンテストを実施し、グループの役職員から多くのアイデアをいただきました。昨年2024年には、団地再生に向けた思いや期待を共有する「ネオポリスサミット2024」を奈良市の大和ハウスグループみらい価値共創センター「コトクリエ」で開催いたしましたが、ネオポリスおよそ10団地から住民約240名、国土交通省、近畿地方整備局、東京大学小泉教授にご参加いただき、非常に価値のある盛り上がったイベントでございました。そして産・官・学が一体となった郊外団地再生検討委員会が設立され、社会課題の解決に向けて大きく動き出したと思っています。
弊社が郊外団地再生に向けて本気でチャレンジしている姿勢を評価され、今回の研究センター新設プロジェクトに選定をいただき、ご寄附をさせていただくことになりましたことを、非常に光栄に思っております。住宅団地及び都市の健全な再生、循環、さらに継続的な発展に寄与し、今後の新しい住宅と暮らしの在り方を見出すプロジェクトになると期待しております。東京大学におけるこれまでの研究の蓄積、さらに他分野との連携、シナジー効果が大きく発揮されると確信しております。