住宅団地再生について
国土交通省 大臣官房審議官 宿本 尚吾
国土交通省 大臣官房審議官 (住宅局担当) の宿本氏から、住宅団地の現状と再生の方向性、政府の取組、再生の担い手についてのお話を伺いました。社会情勢変化の中で、住宅政策も転換期にあり、団地再生に地域の担い手の取組は不可欠であること、住宅団地にお住いの方々と行政・企業・専門家が再生について共に考える機会をつくり、新しい担い手が参画して行くことが必要とのことでした。
(1) 住宅団地の現状
日本の住宅団地は、高度経済成長期をピークに建設が進められてきました。1972年にまちびらきをした団地は全国で83団地あったそうです。その後、新しい団地建設は減っていくのですが、まちびらきした団地での住宅供給が進められますので、住宅ストック数が増えていきます。
住宅団地の第一の課題は、住民の方々の高齢化です。高齢化は日本全体の問題でありますが、住宅団地では同じ年齢層の方々が同時に入居したということがあり、少子高齢化の影響が顕著に現れることになります。
さらに住宅団地建設当時は、建物用途が混在することない、静謐な居住環境が良いという考えから、住宅のみが建設されるよう厳しい用途規制がかけられたところがとても多いということがありました。そのため、商業サービスや働く場の建設が抑えられました。しかし社会情勢が変わってきており、新しいサービスの導入や新しい住宅団地のあり方を考えるときに、この用途規制が妨げになるということもあろうかと思います。
1973年に建築学者の上田篤氏が住宅双六を発表されました。これは親の家から離れて賃貸単身アパートに移り、次に社宅やマンションなどに移って、庭付き戸建て住宅が双六の上がりとなるというものでした。この上がりがまさに郊外住宅団地でした。しかし、上田篤氏は2007年に新たな住宅双六を発表しておられます。これは高齢化の進展によって人々の意識が変わり、これまで上がりと考えられていた庭付き戸建て住宅の先に、高齢者施設、親子マンション、農家・町家、都心高層マンションといった多様な住まいがあるというものです。
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