地域住宅団地再生事業に関する勉強会

3) ワーキング参加者の主な意見

①住宅団地再生を考える検討体制の組成
各団地に関わる自治会・商店会・行政・地縁団体・事業者による、定期的な意見交換が必要という意見があげられています。ビジネスと関連づけるために、スーパーなど地元の民間事業者をいかに巻き込んでいくかが大事との意見もあげられました。
②将来の暮らし像の設定
住宅団地のどういった点が長所で継承していくべきかという観点が必要との意見の一方で、時代変化に対応した多様性や新たな生活様式の観点が必要との意見があげられました。新たな生活様式については、SNSやコロナに関連した意見があげられています。
③取組テーマ:福祉・健康
宅配等の地域関係者との連携による見守り活動や、エッセンシャルワーカーへの観点が必要との意見があげられました。
④取組テーマ:子育て
中高生のサードプレイスをつくることや、小中高生の安心・充実した暮らしや活動、学生と地域の連携、まちづくり教育の観点も必要との意見があげられました。
⑤取組テーマ:生活サービス
カフェは人が集うサードプレイスとしてコミュニティを醸成する機能を有すると指摘されました。サードプレイスづくりのような、柔らかい取組みを通じて、まちの核をつくることができるのではないかとの意見があげられました。同時にサードプレイスをつくるだけではなく、どう発展させるかが大事との意見があげられました。
⑥取組テーマ:交通・移動
乗合タクシーやデマンド交通の構築に関して、AIや自動運転の新技術活用の意見があげられました。
⑦取組テーマ:住まい
高齢者の住み替えに関して、日本ではポジティブなイメージがあまりないため、。元気なうちの住み替えの価値・広報が必要との意見があげられました。
⑧持続的な取組みの実現に向けて
イベント時に団地外の人を積極的に呼ぶなど、団地内外の関係人口の拡大により、人材発掘や施設利用など、様々な可能性が拡がるとの意見があげられました。
⑨体制組成に係る支援
事業者等と地域団体との連携には行政が橋渡し役になるべき、行政は補助金だけではなく、中立的な立場からのコーディネーター的役割が求められるとの意見があげられました。
⑩取組開始に係る支援
対象とする世代によっては広報が拡がった面もありますが、まだまだ広報が十分ではないのではとの意見があげられました。自治体は信頼されやすいことが多いので、公平性を担保しつつ、広報活動による認知度向上を進めるべきとの意見があげられました。

4) まとめ

 ワーキングなどでお話を聞いたところでは、住宅団地再生のネックは、地元がどう取り組んでいいかがわからない、自治体側も団地によって状況がまちまちなので、これをやればよいと明確に言いにくいという点にあるようです。公営・公社の団地やUR団地のような管理主体が無い戸建て住宅団地では、キープレーヤーがはっきり見えず、どう取り組めばよいのかが分かりにくい。国交省側からはハード整備に関するお話になりがちですが、ソフト的な取組が必要とされる中で、補助金ばかりではなく、住宅団地再生にどう関わっていくかなど、明確な発信が難しい中で「手引き」をまとめている段階です。
 これから「手引き」をさらに充実させていくにはどうしたらいいのか。議論が深まって、現場の取組が進んでいけば、「手引き」の普及・活用も進むと思います。皆様の知見を賜りながら進めていきたいと思います。