「郊外住生活の現状と問題点」

−郊外住宅団地住まい手の経年による
“からだ・心・交流”の変化と住まいのあり方−

 

【質疑応答・意見交換】

吉田座長:竹谷様はまちづくりコーディネーターとして建築協定や地区計画に関わってこられたとうかがっておりますが、そのお話もお聞かせください。
竹谷氏:私が湘南桂台自治会長を4年間務めているときに起こった問題は、建築協定をどのようにして維持していくかということでした。世帯数が300から500、あるいは300の自治会では建築協定の方がうまくいっています。500を超えたら建築協定はうまくいかないと考えた方がいいと思います。なぜかと言いますと、建築協定は民民の協定なので、万一違反があった時は裁判を起こさなければいけないのですが、実際には裁判を起こすだけの力がないのではないか。私は20年間扱った中で裁判の寸前までいったのがありました。裁判では保証金を積まなければいけないので、自治会の貯金から出すか、それとも募金するかとなりますが、その地区では急遽募金をしましたところ、予想外にお金が集まったということで、業者の方が恐れをなして裁判を引っ込めて無事に終わったという例がございました。しかしそういった経験から建築協定運営委員の方々も疲れるので、建築協定を地区計画に変えたところがあります。ただ横浜市の地区計画に関わる職員数は少なく、もちろん背景に条例があるので建築協定に比べたらずっと楽ですけれども、違反を見つけ指導しちゃんと話を整えるというのは自分たちでやらないとできないということということは分かりました。
成熟研委員:郊外住宅団地は利便性よりも良好な住環境を目指して開発されたと感じていますが、これから利便性を上げるための店舗建設には、建築協定や用途地域などでの制限があり、住民合意があれば変えられますと行政は言うのですが、実際に自分の家の前が駐車場付きのスーパーになるというのは好まれないというような状況があります。具体的にどのような解決方法とった例があるのかということを教えて下さい。
竹谷氏:用途地域そのものが見直されるのではないかという気がしています。我々のところでも、総論賛成各論反対ということで、お店がある方が便利なのですが、お隣は嫌だというようなことが普通です。我々のところでグループホームを行政と相談してつくりました。昔の障害のあるお子様はご両親より早く亡くなりましたが、最近では医療を進んだためにそういう不幸な方も親よりも長生きされるわけですね。そこで将来どうしたらいいのかということで我々の考えたことは、そういう親御さんが出資して一つの家を買って、福祉施設がメンテナンスするグループホームとする方式を地区計画に盛り込みました。総論賛成で非常に喜ばれたのですが、隣にそれができると言ったら反対されて、つくるために1年くらいかかりました。我々のところでは、1年に1回は運動会など障害者と一緒にやりましょうといったことを行い、雰囲気が変わりました。


以上