20世紀の不都合な真実と、その打開策
- 住宅ローン債務のくびきからの解放
- こうした20世紀に手塩にかけて開発された郊外住宅地における、経済的ポテンシャルの高さについて指摘しておきたいと思います。
- 図3は横浜市の虫食い状に住宅地が開発された、人口が減り始めている郊外です。この中に、ハウスメーカーが1970年代半ばに開発した、約850戸の戸建て住宅団地があります。人口は約2,500人で、65歳以上が40.4%を占めています。つまり、地方の限界集落と呼ばれるところとほぼ同じ状況にあります。ところが、大都市郊外の場合は、このコンパクトにまとまったエリアに大きな経済的ポテンシャルがあります。
- 70〜80坪の大きめの敷地規模が標準となっており、バブルの頃は1億円を超える住宅価格となっていました。居住者がこの住宅地に投下したお金を総合計すると約1千億円は下らないでしょう。加えて、公的なお金による都市基盤整備も行われました。現在の主な居住者は70歳代前半の、厚生年金を受給されている方々で、1世帯当たり約25万円の月収が、景気の変動に関係なく入っています。つまり、850世帯全体で、1年あたり25億円から30億円のキャッシュフローが入っています。さらに日本の65歳以上の方々の平均的な金融資産額から類推すると、850世帯全体で約200億円くらいの金融資産が貯まっていると考えられます。
- 一方で居住者が後期高齢者になっていきますと、介護保険の総費用が約5億円、医療費が約8億円になると考えられます。これをコストがとてもかかると見るか、コンパクトな範囲に医療や介護の需要がまとまっているかと見るかで、ビジネスとしての捉え方(商機)が全く変わってきます。