「高齢者向け住宅水周り等介助動作寸法に関する研究」より
近畿大学 建築学部/アンチエイジングセンター教授 山口健太郎
成熟社会居住研究会では、近畿大学建築部山口健太郎教授から、高齢者向け住宅の水周り等介助動作寸法に関する研究報告をいただきました。
(1) 住戸内トイレの寸法に関する検討
本日は、設計にすぐにお役立ていただける技術的な話をしたいと思います。高齢者施設・高齢者住宅は共に、水回りのスペースを設計する時に、寸法を何cmぐらいにしたらいいのかを、エリアで決めていたりモデュールで決めていたりしていると思いますが、今日は主に個室内トイレの寸法と部屋の間口寸法についてご紹介させていただきます。
18m²の部屋でもトイレ・収納・洗面等は、ほぼ備わっています。そして入り口部分にトイレを設けるパターンと、部屋の側壁にトイレを設けるパターンと、後は窓側にトイレを設けるパターンの3つがあります。入り口側にトイレを設けるメリットは、プライバシー性が高まるという点です。一方で寂しく感じることや、介護の見守りがしにくいということがあります。側壁にトイレを設けるパターンでは、ベッドをトイレの横に置くと移乗も簡単にできます。寝ている時には、写真のように扉を閉めると、普通のお部屋として使うこともできます。
窓側にトイレがあるというパターンは、これは改修などのイレギュラーなパターンですが、間口寸法がなかなか取れないというデメリットがあります。しかしプライバシーに関しては、共用空間との関係性がとりやすく、また非常に扉を広く開けることができるので、介助もしやすいという利点があります。しかし眺望の面では問題があります。
このように主に3つのパターンありますが、一番多いパターンは入り口にトイレを設けるタイプです。18m²の場合は主に入り口部分にトイレと洗面、もしくは収納がありますが、25m²以上になると、シャワールームがついていたり、キッチンがついていたりします。水回りのスペースが大きくなってしまうので、これをいかに小さくするかということが課題になってくると思います。実際に設計されている中では、やはり水回り空間は取らないといけない、そしてその中で介助もしなければいけない、しかしあまり大きくしすぎると部屋の中での水回り空間の割合が大きくなってしまうため、出来るだけ介助スペースを小さくできないかと考えておられると思います。
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