木下 |
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家づくりサポートの仕事にかかわるなかで、今、住まい手は住宅に何を求めていると感じますか? |
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菅野 |
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建主に変化が見られるということが言われていますが、建築家の方が言う建主の変化というのは、お金にうるさくなったとか、理屈を説明しないと納得してくれないとか、そういったことのようです。情報が多い中で、今の住まい手は、理路整然と説明されないと納得しないということがあると思います。それはライフスタイルについてもいえることで、先にあるライフスタイルを示されても受け入れられないという傾向が、特にOZONEにいらっしゃるお客様には見受けられます。そういう意味で、住宅メーカーさんなどは、これからは今までのようなライフスタイル提案型の売り方が難しくなるだろうなと思います。
ちょっと前であれば住宅メーカーが提案するストーリーのあるライフスタイル提案型の住宅に憧れて買っていた人が多かったのではないかと思うのですが、今はそういう憧れに対する信仰がなくなっているのではないでしょうか。それよりも、自分たちにとって居心地のよい、自分たちらしい家がほしいという意識が強くなってきているようです。
「自分たちらしい家」といっても、個性追求といった大げさなことばかりではなくて、住むことへの意識が高まって、情報もたくさん手に入るようになった。そうしたら、どうも自分にとっての居心地の良さ、家にもとめる価値基準は、もっと自分の皮膚感覚に近いところにあるようだと感じ始めているといったことです。たとえばある建主は、清潔に保てるということにはとてもこだわるけれど、傷がつくことには無頓着、といったように。これは多くの人の生活の最大公約数でとらえていると見えにくい部分かもしれません。
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木下 |
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OZONEにいらっしゃるお客様は、住宅メーカーのどのような点に違和感を感じているのでしょうか? |
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菅野 |
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話を聞いてくれないというか、もちろん聞いてくれるのだけれど、あくまでも間取りに反映するためだけでしかない。自分らしく…と考えている人にとっては、何が自分らしいのかということを整理する段階を無視して、いきなりどんな間取りにするとか、色はどっちにすると聞かれてもだめなんです。今聞いてほしいのはそれじゃないという感じで。先ほどお話ししたように、理屈がないとだめというか、最初から間取りの話をすることに違和感があるのではないでしょうか。 |