寒さに強い住宅づくり
 住宅内の温度差の緩和

 高齢になると、体温調整能力が減退してくるため、住宅内の温度差が身体や健康に影響を及ぼします。特に、居室と廊下や便所、脱衣室と浴室などにおいては、急激な温度変化による心拍数の増加、血圧の急激な上昇など、心疾患や脳血管疾患を誘発する恐れがあるため、住宅の高断熱・高気密化とともに、住宅内の温度差を緩和することが必要です。

 
 

<解決方法>

1)住宅内の温度差による事故(ヒートショック)を未然に防止するために、居室や寝室だけでなく、台所やトイレ、洗面所、浴室、脱衣室、廊下などに暖冷房設備を設置するなど、できるだけ住宅全体の暖房を行うようにします。特に身体を露出するトイレや浴室、脱衣室には留意します。暖房方式としてはガスストーブや石油ストーブなど燃焼ガスや水蒸気を放出する開放型の暖房器具は避け、FF式ストーブや床暖房、パネルヒーターなどクリーンで安全な、かつ高齢者でも維持管理が容易な機器を使用するようにします。
・トイレ:暖房便座、輻射式のパネルヒーターなど
・脱衣所、洗面所:パネルヒーターなど
・浴室:断熱性、気密性の向上、体にふれても冷たくない材質の使用、換気乾燥暖房機、熱交換型換気扇の使用など

 
窓下の温風吹き出し口      
 

2)窓の断熱性が低いと室内空気が窓ガラスに接触し、重く冷たくなって床に吹き降りてきて(ダウンドラフト現象)、足下が寒い状況を生み出します。これを解消する方法としては、窓下に放熱源(温水パネルや温風暖房の吹き出し口など)を設置する方法があります。部屋全体の温度差を解消し、かつガラスの結露を防ぎます。

←写真;新潟県ユニバーサルデザイン住宅推進計画調査報告書、平成16年3月、新潟県土木部都市局建築住宅課 より

 
     
3)雪国においては、特に住宅内の室温と外気温との差が大きいため、窓や玄関扉などからの熱損失が大きくなりますので、開口部の断熱性能を向上することが必要です。そのために、窓に複層ガラス(ペアガラス)等を使用することが考えられますが、サッシの開閉重量が増大するなど、握力のない高齢者でも容易に使用できる建具の操作性を確保することが必要です。
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