温熱環境リフォーム 設計・施工について

 
fig3  写真1は外壁の改修の例で、内装をはがして断熱材を入れなおすという方法を紹介したものです。外壁が既存のままで通気層がない場合、断熱材を入れた後に別張りで防湿気密フィルムを貼る必要があります。その際に防湿気密フィルムの受け材として、天井付近と床付近に気流止めを兼ねた木下地材を入れて、そこに気密フィルムを貼り付けることで外壁側に湿気が入っていかないような方法をご検討いただきたいと思います。また、間仕切り壁の下に気流止めを差し込むことで、既存の間仕切り壁の足元の温度が上がってくる傾向があり、部屋の温熱環境を良好にすることが可能になるため、ご検討いただきたいと思います。写真1は改修しているところですが、既存の断熱材を撤去したうえで、新たに断熱材を充填しています。これは防湿フィルム付きの断熱材を使っていて、耳の重なりを連続させ、気密テープでさらに上から補強しているものです。

fig4  写真2では、内装の下地材を残したまま、室内側から断熱材を貼り付ける、内張り断熱工法を紹介しています。これは非常に取り入れやすい改修で、内装の模様替えなどの際に、室内側から断熱材を貼り付けることになります。しかしやはり、断熱材同士の突き付け部分の気密性の確保や断熱材の裏側に隙間が生じないような施工をしなければなりません。内部結露の発生するリスクは内張り断熱でも同様で、断熱材の外側に室内の暖かく湿った空気が入ってしまうと、断熱材の外側はより冷えた環境になっているため内部結露を起こす可能性が高くなります。

 図3のように床に断熱材が入っている状況で室内側に新たに断熱材を貼り付けると、床と室内側に張り付けた断熱材の連続性が確保できるケースがあります。この場合、図中には表現されていますが外壁側の気流止めを省略することができます。基本は断熱区画がどのように連続するかイメージしていただきながら気流止めが必要か判断することになります。
fig5  既存の間仕切り壁の足元には、壁・充填断熱工法と同様に、気流止めを入れます。
 写真の内張断熱工法は、耐震改修と内張り断熱を一緒に実施した例です。耐震性能は、合板で室内側から固め、さらにその内側に石膏ボード付きの断熱材と断熱複合パネルを貼り付けています。
 また、この写真は、真空断熱材を内張りした事例です。真空断熱材は薄くて非常に性能が高いものなので、内張断熱工法に向いています。