市議会議員にストックホルム市の現状の住宅施策についてお伺いすると、「政策なき政策 (No Policy)」とおっしゃられる方がほとんどでした。公的賃貸住宅の所有転換がなされ、公的賃貸住宅の供給量は減少しています。スウェーデンでは協同組合が供給した住宅に「居住する権利」を所有するという、日本とは異なる住宅の所有体系がありますが、「居住する権利」の売買への銀行融資が可能になり、「権利」の価格が高騰しました。中心市街地では公的住宅である「安心住宅」の賃貸料が高騰し、高齢者世帯の入居が困難になっています。実際に、住宅地格差によりジェントリフィケーション (高級化) の進んだ中心市街地では1990年から2008年にかけて高齢者世帯が減少しています。