写真1:湯浅伝建地区のまちなみ
◆これから 〜伝建地区と少子高齢化・防災との折り合い〜
湯浅町の人口は近年減少傾向にあり高齢化率も28%近く、少子高齢化が深刻化しています。加えて若い世代の人口流出も続いており、湯浅町の今後の担い手について対策が必要になっています。伝建地区を未来に残すためにも、湯浅町に住む人々を惹き付けるとともに、高齢化した住民と伝建地区とが共存できるように方針を定める必要があります。例えば、湯浅町は移住定住促進のために定住支援制度の整備を行っている他、空き家バンクの創設や移住促進ツアーの開催などを行うことで少子高齢化対策を行っています。
さらに、伝建地区は防災面でも課題を抱えています。伝統的なまちなみは魅力的である一方で、建物は老朽化し防災性能が非常に低いため、地震などの災害時に深刻な被害を受ける危険が高いと言えます。伝建地区を保存したまま防災面での課題を解決するために、ハード対策とソフト対策を上手く組み合わせて対策する必要があります。湯浅町では景観に配慮した消火器(写真2,3)を備えるともに、防災訓練や避難訓練を積極的に行って防災コミュニティを形成することで、ハードとソフトの両面から伝建地区と防災との折り合いを図っています。
写真2,3:まちなみにとけ込んだ消火器
◆おわりに
湯浅町は醤油醸造発祥の地として発展してきた伝統的なまちなみを残す一方で、少子高齢化や防災等の課題を解決しようと努力しており、伝建地区と地域の課題との折り合いのひとつの形を見ることができました。
◆参考文献
・湯浅町HP
http://www.town.yuasa.wakayama.jp/
・文化庁HP
http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/hozonchiku/pdf/r1392257_070.pdf
・和歌山県HP
https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/020100/tokku/s_ichiran_d/fil/281129-1.pdf
(文責:廣中)