八鶴湖の畔に戻り、今度は北東側の坂道を登っていくと、丘の上が公園になっており、展望台から町を一望することができる(写真12)。崖下に作られた東金の町を、崖の上から俯瞰することができる貴重なスポットだ。
写真12 山王台公園の展望台から望む東金の町
◆駅東側の新市街地と今後の展望
最後に、駅東側のまちについても紹介する。東側は戦後にできた新市街地で、駅のすぐ近くに市役所や商工会館、ショッピングセンター等が並んでいる(写真13)。地方小都市でよく見られる構図ではあるが、駅を挟んで全く毛色の異なる町が近接しているのも、東金の面白いところの一つである。
ところで、東金駅の東側には改札口がなく、東側から電車に乗るには跨線橋を渡って西口の改札に向かう必要がある。これだけならまだしも、東側の2番線から電車が発着する場合となると、改札に入った後もう一度構内の跨線橋を渡らなくてはならず、これが長年の懸案になっていた(8)。これを受けて、東金市は最近、2025年度末までに東口改札を整備する方針を固めており、駅の利便性は大きく向上しそうだ。さらに市では、駅構内にあるエレベーター付きの陸橋を自由通路とし、駅東西の回遊性を向上する取り組みも行っている(9)。市都市計画マスタープラン(10)において「駅東西エリアそれぞれの歴史、文化、商店街の景観などを活かした回遊性の高い商業環境を創出し、魅力ある中心市街地の再生を図ります。」と謳われているように、今後駅周辺の利便性が向上することで、東西の町の良さが引き出される形で、東金の魅力もさらに向上していくことを期待したい。