パストラルびゅう桂台・コモアしおつ

今回は山梨県にある「パストラルびゅう桂台」と「コモアしおつ」を見学した。

このふたつの住宅地は非常に類似したコンセプトでつくられている。
どちらも高台を拓いて宅地を造成し、最寄り駅前から宅地までをモノレール等で結んでいる。自然に恵まれた場所で、 都会では住めない広い家に住むことができる。今回見学したふたつの住宅地は都会から遠すぎず、近すぎない場所でこれを実現している。



○パストラルびゅう桂台

最寄り駅はJR中央本線猿橋駅で、近くには日本三奇橋の猿橋がある。

静かで環境のよい場所であり、高尾から特別快速を使えば、八王子まで約40分、新宿まで80分ほどで行くことができる。

町には景観を守るためのさまざまな景観規制が行われている。
たとえば、宅地面積の最低限度は180u、建物の高さは10m以下、屋根の色は黒または茶系、道路境界より1m以上のセットバック、 道路に面する部分に中木3本以上などがある。この規制のおかげで統一感のあるまちなみがつくられている。

(写真1)街路樹


(写真2)建物の色彩は統一されている


(写真3)道路に面する部分には中木が植えてある


駅前と住宅をつなぐシャトル桂台はBTM(磁石ベルト式モノレール)と呼ばれる日本初のシステムである。 着工時には世界一の急勾配を運行することで話題になった。
しかし、そのシャトル桂台が故障により運行停止。その原因が特定できず対策を講じることができないため、 運行再開が断念され、宅地の分譲も停止されている。現在は暫定的にタクシーによる代行輸送を行ないながら、 新たな輸送手段が検討されている。

(写真4)シャトル桂台




○コモアしおつ

コモアしおつは開発総面積80万平方メートルの大規模な住宅地である。一説には宮崎駿監督の映画「千と千尋の神隠し」 の主人公の少女一家の丘の上の住宅地のモデルともいわれている。最寄り駅はJR中央本線四方津駅。パストラルびゅう 桂台より電車で10分ほど東京側の場所にある。

住宅地内には「風の公園」「時計の公園」「石の公園」「スポーツの公園」と4つのコンセプトに基づいた公園がある。 見学に行った日は休日であり、多くの子供たちが遊ぶ姿が見られた。

戸建住宅エリアには、センター・サウス・ウエスト・ノースの4ブロックがあり、西洋風の雰囲気のまちなみが広がっている。 色彩も統一され、緑も多い。

(写真5)トリコパルク 西部のもっとも新しい住宅部分。敷地と敷地の間を塀などで囲わず、開放感のある空間となっている。


(写真6)ゆるやかにカーブしている道


(写真7)時計の公園への道。豊富に植栽が植えられている


(写真8)遠くには山が見える。道の色彩にも工夫が見られる


新しい住宅地としては比較的オーソドックスな西洋風のまちなみですが、緑も多く、まちなみの統一感もありよく工夫されたまちだ という印象を持ちました。1991年の販売開始から16年が過ぎ、町も成熟しつつあります。今後、どのように発展していくか楽しみです。 (文責:沢崎拓史)