写真6:音戸旧道なつかし通りから見える音戸大橋(筆者撮影)
4. 生活に根差したランドマーク
筆者らが音戸を訪れた当初は、音戸大橋に対して地元の方々がどのような印象を抱いているのかを、特に景観面から掘り下げたいと考えていた。
しかし、実際に地元の方々に音戸大橋への印象を伺うと、生活に必要不可欠だという意識を強く感じた一方で、景観への印象を伺うことはできなかった。また、架橋で交通が便利になったことで地元店舗の利用が減り、音戸の店舗が減少したかもしれない、といった側面も伺った。
まちづくりの拠点であるおんど観光文化会館うずしおや音戸市民センターが音戸大橋への眺望を意識してデザインされていることや(写真7)、地元の飲食店に音戸大橋が描かれた絵画が飾ってあること(写真8)などから、確かに音戸大橋は地域のランドマークとして捉えられているように感じられた。しかし、生活に深く根差した音戸大橋のランドマークとしての在り方は、都市におけるタワー等のランドマークの在り方とは異なるのかもしれない。
写真7:音戸市民センターのテラスから見える音戸大橋と第二音戸大橋。螺旋の手前に見えるのがおんど観光文化会館うずしお(筆者撮影)