パワースポット伊勢神宮とまちなみ保全事業

最近「パワースポット」といって、そういう場所を巡る人が増えているそうですが、その1つに「伊勢神宮」があります。

元来皇室との結びつきが強く、関連した行事がとり行われる場所でも有名ですが、今回行ってみてそれ以外の点においても素晴らしい場所であることを体感しました。

伊勢神宮は「外宮」と「内宮」に分かれています。
「外宮」はどちらかというと街に近い場所にあり、まわりは普通のまちなみ。
しかし、一歩中に足を踏み入れると山の奥深くまで歩いてたどり着いたときのような樹木のいい香りがただよってきます。
歴史が古く、またよく手入れされているだけに境内は美しい自然に溢れています


外宮」の他にも4つの宮があり、それぞれを辿って歩くのも気持ちが良いです。
距離としてはそれほど長くなく、地元の人はちょっと朝お散歩に、お参りする人も多いようです。観光客が以外に少ないのも「外宮」の特徴。

一方「内宮」は賑やかな参道を通り、宇治橋を渡ったところにあり、歴史を感じさせる大樹もさることながら、山と川との配置関係が素晴らしく、大きな自然を感じさせます。


こちらは参道から近いせいか、参拝客で溢れ、活気のある境内です。

また、どちらも原則として20年に一度の式年遷宮があり、すべてをそっくり造りかえてしまいます。歴史は古いですが、建物自体は20年以上歳をとることなく生まれ変わっているのです。そのため、華美な装飾はあまりなく、木そのままの良さを生かした造りになっており、この建物から感じられる自然もまた格別です。


長い歴史を経た素晴らしい自然、周囲の山と川、そして常に新しい木で作られている「外宮」「内宮」これらがパワースポットと言われる由縁だと感じました。

しかし、こんな素晴らしい場所でも、過去には周囲に人が集まらず、苦労した経緯があります。現在「おはらい町」と呼ばれている「内宮」への参道となっている場所です。昔は賑わっていたこの場所も、1970年代には参拝客がお参りだけして帰るため集客が伸びない時期がありました。
そこで立ち上がったのがあの有名な「赤福」の当時の社長さんです。
日本の良さを生かしたまちなみによって1979年に伝統的なまちなみの再生が始まりました。これを受けて1989年には伊勢市も「まちなみ保全条例」を制定。
切妻・入母屋・妻入の伝統的な木造建築で統一されたまちなみになり、客足は回復。現在では新たにたくさんのお店を構えた「おかげ横町」も加わり、休日は多くの人であふれかえっています。


賑やかに生まれ変わった参道ですが、川沿いからみると山を背景に屋根が並ぶ様子はとても美しいです。


色々な意味でパワーの集まる伊勢市。伊勢エビをはじめとする海の幸が美味しいのも楽しみの1つです。修学旅行などで行ったことのある方も多いと思いますが、新しくなった伊勢にまた訪れてみてはいかがでしょうか。

(文責:中田早耶)