琴平町の門前町が現在の形で発展したのは江戸時代といわれています。この時期はそれまでと比べて格段に旅がしやすくなったため旅人が多く集まるようになりました。旅人が集まったことによって一段と金刀比羅宮が賞揚され、外来の人が集まるようになりそれを満たすために門前町が形成されました。写真3のように現在も参道や門前町には土産物店や旅館が並んでおり当時の雰囲気を感じさせてくれます。
写真3:階段となった参道に立ち並ぶ土産物店
◆移り行く現在の琴平町
写真4は現在の琴平駅から金刀比羅宮の参道の入り口に向かう途中に撮影したものです。道の両側に商店が並んでいる様子がうかがえます。この場所を歩いてみると車が無かった時代の狭い道幅に2車線の車道が通り、歩行者にとっては車の往来が心配に感じられました。また、琴平町の中心であるこの地域に建物が立ち並ぶ中に駐車場があることでまちなみとしての統一感が失われていて、琴平を歩くことの楽しさが失われているように感じました。このような琴平町の魅力低減は観光客数の変化にも表れているといえます。香川県観光客動態調査報告によると琴平の観光客は瀬戸大橋が開通した昭和63年に急激な伸びを見せ年間500万人を超えていましたが、それ以降は減少傾向が続き平成28年には年間220万人ほどとなっています。もちろん観光の面だけで琴平町の魅力を語ることはできませんが、観光客数の減少幅は大きいことからも旅行者にとって魅力が下がっているといえるのではないでしょうか。
写真4:失われつつある昔のまちなみ
◆おわりに
天気が悪い中の訪問でしたが商店が並ぶ参道を通り長い階段を登り切って金刀比羅宮の本宮にたどり着いたときは達成感がありました。この達成感の後に参拝するこんぴらさんに長い間人は惹きつけられてきたのだと感じました。これからも長い歴史を経てきた琴平町が今後も魅力あるまちとしてあり続けてほしいものです。
◆参考文献
溝尾良隆(2007)『観光まちづくり 現場からの報告 新治村・佐渡市・琴平町・川越市』原書房
香川県(2017)『平成28年香川県観光客動態調査報告』
金刀比羅宮ホームページ URL: http://www.konpira.or.jp/about/history/main/page.html
(2019年1月7日閲覧)
琴平町ホームページ URL: http://www.town.kotohira.kagawa.jp/pages/809
大崎定一(1972)『こんぴら物語』琴平町・金刀比羅宮社務所
(文責:宮川)