後年になり、エルトゥールル号遭難事件の犠牲者を弔うためのトルコ軍艦遭難者慰霊碑が建設され、日土友好を記念したトルコ記念館が建設されました。慰霊碑は長年に渡り地元小学生らにより手入れされており、綺麗な姿を保っています。トルコ記念館館内にはエルトゥールル号の模型や遺品などが展示されており、遭難事故当時の逼迫した状況を窺い知ることが出来ます。また、2階からは船が座礁した遭難現場である船甲羅岩礁を眺めることが出来ます。エルトゥールル号遭難事故と1985年のトルコによるテヘラン邦人救出をもとに作られた「海難1890」という映画も紹介されています。
写真4:トルコ記念館
◆おわりに
紀伊大島を台風の観点から見ていきました。頑丈に固められた石垣や平屋建ての家屋、狭く入り組んだ道など、島内を構成している特徴的なまちなみの要素から、島民たちが厳しい気候条件と向き合いながら少しずつ積み重ねてきた時間の流れを感じました。島に到来した台風はエルトゥールル号遭難事故という悲劇も引き起こしましたが、島民の救助活動により日本とトルコの友好を深めるきっかけにもなりました。自然の厳しさと、それに立ち向かいながら最大限の努力を尽くす人々の逞しさを感じました。
◆参考文献
・『トルコ記念館 南紀串本観光ガイド』一般社団法人南紀串本観光協会https://kankou-kushimoto.jp/ (2019年9月15日閲覧)
・串本町ホームページhttps://www.town.kushimoto.wakayama.jp/kanko/ (2019年9月15日閲覧)
・梅本信也, 2003, 紀伊大島フィールド・ガイド―自然編―, ユニバース印刷,
https://fserc.kyoto-u.ac.jp/oshima/inspection/pdf/7.pdf(2019年9月20日閲覧)
(文責:内田)