金沢の茶屋街―主計町茶屋街(かずえまちちゃやがい)―

金沢

小京都といわれる金沢はその歴史的な街並みが有名ですが、その街並みの象徴としていくつかの有名な茶屋街が挙げられます。そこで今回は、川辺の情緒さと歴史的な街並みうまく調和した主計町茶屋街を紹介します。

主計町茶屋街は金沢市中心街の北部、浅野川大橋と中の橋の間に浅野川に面して続く茶屋街です。写真1,2は、主計町茶屋街の浅野川大橋から西側の通りの様子です。ここは地元の人でも知る人ぞ知る通好みのバーや割烹も建ち並ぶエリアですが、それらの暖簾や看板はひっそりと控えめで、いかにも隠れ家的な風情を醸し出しています。また、浅野川沿いにもさまざまな工夫がなされています。街灯は、写真1に見られるようにガス灯で、歴史的な街並みにあわせたものになっており、さらに、夜になると昼間とはちがったあたたかみのある風景をつくりあげ、川に沿って植えられた桜の木は、春になると桜並木がさらにしっとりとした情緒を漂わせるといいます。昼と夜、四季など、訪れる時間や時期によってまた違った街並みを楽しむことができるのも主計町茶屋街の大きな魅力かもしれません。

hayakawa_13.jpg (写真1)主計町茶屋街。川沿いにはガス灯や桜の木が植えられ、情緒ある街並みをつくりだしている。


hayakawa_14.jpg (写真2)通好みの割烹や茶屋が建ち並ぶ。


写真3は暗がり坂です。尾張町にある久保市乙剣宮から主計町の路地裏へ抜ける坂道で、その薄暗さから暗がり坂と呼ばれています。暗い道というのは時折敬遠されがちですが、むしろこの薄暗さが路地裏には良い雰囲気をだしていて、かつてのお茶屋を訪ねる旦那衆がそうしたと言われるように、人目を忍んでこの坂道を通り抜けているような気分になることができます。

hayakawa_15.jpg (写真3)尾張町から主計町茶屋街へ抜ける暗がり坂。


金沢という町は、市内全域に歴史的な雰囲気を味わうことのできる街並みが存在していて、その街並みのおかげで自分も当時の人になったかのように味わうことができるのが素敵なところです。地域として昔ながらの町を保存していく、それは決して容易なことではりませんが、その努力の賜物として、金沢でしか味わえない街並みを味わうことができるのだと思います。ぜひ金沢を訪れる時は、自分の足で歩いて、昔の人々になりきって散策してみてはいかがでしょうか。
(文責:早川玲理)

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