応募部門 住宅
受賞者名 シーズ・アーキスタディオ建築設計室 白崎泰弘、白崎治代
作品名 HT-House


●まちなみ配慮のポイント
 約100m²あった木造住宅を南側と東側に約40m²増築した。
 周辺は木造住宅と中層マンションが混在しており雑然とした住宅街である。その中で今回の建築をまちなみに寄与するには、なるべくシンプルな表情を通りに見せることであろうと考えた。増築部分を黒のガルバリウム鋼板とし、既存外壁の白と明快な対比を外観のデザインコンセプトとした。黒の外壁を隔てた奥は玄関・リビングに接した通り土間となっており、生活の様子がこの土間ににじみ出ることを期待した。

講評
 日本の戸建て住宅は近世の武家住宅を継承して、敷地を塀と庭で囲み、そのなかに入り隅と出隅の多い母屋を配する。戦前の郊外住宅の屋敷では200坪程度は珍しくなかったが、近頃は母屋が大きくなったのに、大都市では30坪を切ってあたりまえなほど敷地のほうは狭小になっている。そうなると、かつては庭木に隠れていた母屋が街路景観にまともに表れ、各戸が妍を競うだけの乱雑な街並みになる。
 この作品では、現代の典型的な郊外住宅に輪郭のはっきりした増築を重ねて、快い秩序感のある街並みを作り出している。しかも、元の住宅を全く覆ってしまうのではなく、その名残もあり、履歴を感じさせる深みのある外観となっている。
 変化を迫られる日本の戸建て住宅の今後の姿を見据え、街並みを意識した優れたリフォーム作品が現れたことを喜びたい。

「まちなみ住宅」100選 審査委員会
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