応募者名 マニエラ建築設計事務所 大江 一夫
作品名 西岡本の家


●まちなみ配慮のポイント
街路樹をとりこんだ家
阪神間灘五郷で有名な住吉川のほとり、そして学園と住居が融合した街岡本、学生で賑わう通りから少し離れるとその喧騒が消え、昔ながらの表情を多く残す家並みが続いている。その街中にクスの木の並木が続き、東西に伸びる道路がある。Y邸はこの通りに面し、約40°の鋭角でこの敷地が広がる。そして接道する境界線の中央に、クスの木の大木が存在する。計画はこの街並みとこの敷地に対話が生まれ、この樹木が一体となって生活の1シーンと化していくよう進めていった。建物の南北に貫く壁は生活の場を寄り添わせるように各々の空間を機能させ大きな壁とガラス面、そしてアプローチの水面は対話の一つの導きでもある。そして一枚の壁は外の表情をそのまま家族の集う場へと貫入され、光はトップライトを介在し、小屋組みの影は一日の時の移り変わりを刻んでゆく。主な内壁の仕上げは、白の漆喰とした。腕の立つ左官職人と巡り合えたのは幸いだった。モルタルで仕上げられた漆喰壁は、玄関ホールを抜け、前方のクスの木のある風景を切り取り、アプローチに展開された水盤は陽の光を反射し、ホールの天井に微かなゆらめきを写しだしている。
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