近年、住まい、暮らしの中での健康、安全性は国民の関心事の1つであり、経済産業省といった行政機関も健康サービス産業の普及促進へ向けて支援事業を行っている。
そこで、第2回の今回は、本研究会の会員でもある東急ホームの吉田一居氏を招き、「EBHと東急ホームの健康住宅への取り組み」と題し、住まいと健康について講演をして頂いた。
※ EBH・・・Evidence Based Health-promotion(根拠に基づく健康増進)の略で、経済産業省が普及をめざす健康支援システムのこと
平成18年1月26日(木)
住宅生産団体連合会 会議室
近年の国民の最大の関心事項は「健康」であり、年々健康意識は高まる傾向にあり、実際に生活習慣病の患者も増加傾向にある。
また、行政側も年々増える社会保障費の軽減を課題としており、社会的に健康関連産業への期待は高い。
経済産業省は、新たな健康サービス産業創出に向け、平成 16年から毎年度、提案公募型のモデル事業を採択・実証し、(NPO法人の健康サービス産業振興機構と連携しながら)、民間主導で自立的発展を促す方向に取り組んでいる。
従来から、東急ホームの北米式輸入住宅「ミルクリーク( Millcreek)」は健康に良い、と購入者から評価を得ていた。それをさらに科学的に証明するため、住まいの環境が健康増進に与える影響の調査、研究を中心にすすめるための研究所を設立した。そこでの研究に基づき、4つの健康理念(空気、水、安心、安全)を掲げ、健康仕様を、オプションではなく標準装備としている。
EBH促進という、幅広く、かつ大きなテーマに取り組むため、社内のみならず医学分野等の隣接する分野の産業や、ドイツのフラウンホーファー建築物理研究所(IBP)等の海外の研究機関ともネットワークを組むことで、調査や研究体制を整えている。
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高気密、高断熱や 24時間全館空調を行い、住まい全体の室温を一定に保つことは、家の中の室温の違いによって引き起こされる急激な血圧の上昇を防ぐだけでなく、心筋梗塞や脳梗塞の原因である睡眠中の血圧をなだらかに下げたりと夜間の血圧変動に好影響をもたらす。
当該事業では、複数の事業主体が連携・協働する「コンソーシアム」形式で実施していることから単独参加は出来ず、必ずコラボレーションになる。地域の波及効果等を考え、地方公共団体を巻き込んだモデルが多い。平成 16 年度に採択された大阪府・大東市の事例では、大阪産業大学、ハウス食品、デサント等に加え、吉本興業が協力することで、「運動」と「メンタルケア」に「笑い」を織り交ぜた“出前”形式の運動プログラムを提供し、高齢者の体力が維持・向上することで将来の高齢元気者の増加を図り、更には医療費・介護費の抑制に資することを目的とした事業があった。これは平成17年度には更に各地に事業を展開している。
具体的なグラフや数値を用いて表記されている。壁の断熱性能なども数値を用いて表記されている。ガイドラインは新築用と改築用の2種類ある。両者とも同じくらいのボリュームで、向こうは改築の方の市場が大きく、改築のガイドラインにも力を入れている。このことからも、日本に比べ、改築に対する意識が高いということが伺える。