まず、大城地区の街並みの魅力は、現在でも集落全体に”琉球らしさ”が根付いて、それを体感できるところだ。観光名所の中村家住宅で、伝統的な琉球の建築様式を見ることができ、面白さを感じたのはもちろん、それに加えて私は、周囲の街並みが中村家住宅と一体となって形成されているところから、集落全体に対するちぐはぐさ・違和感を覚えずに文化体験できたことが大きな魅力に感じた。
写真4:手作りシーサーと統一感のある綺麗な街路
観光客の立場から見ると、文化が根付いていて、活気がある街は妄想も楽しい。訪れた時点では、世界遺産の中城城跡と大城の街と距離があり、二つをつなぐ道は一般的なアクセス道路という印象しかなかったが、おそらく次訪れるときには、なにかが変わっているはずだろうと思わせる。
次に、大城の人びとの魅力である。それは住民がコミュニティを愛しているところだ。
今回の調査では、大城の事務局の方や役場の職員の皆さん、地元の花咲爺会の皆さん、地元の青年会の皆さん等、お酌を交わす機会があり、非常に多くの方に歓迎してくれてありがたかった。正直今回は東京からの大勢の来客ということでこのように出迎えてくれたと思うが、地元の多くの人がすぐに集まれるところに東京では感じられないコミュニティの良さを感じた。
「ここでは、皆が支えあって生きている。」
コミュニティのつながりの強さから感じることができる大城地区の住民の幸福感は、首都圏に住んでいる者に、普段の生活がいかに人間味のない寂しいものかを考えさせられるものである。このつながりの強さもまた、琉球文化の一つであると思うし、大城地区の魅力であると思う。
今回私たちは大城地区の民泊を利用した。民泊は地元の人々とコミュニケーションを取ることのできる一つのツールとしてお勧めしたい。
(文責:増田広樹)
追記:研究会有志が、大城地区のカー(井泉)に着目した分析を行い、その成果が都市計画報告(都市計画学会)に掲載されました。ぜひご覧ください。
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