いかに歴史的な街並みと近代的な街並みを融合させ、よりよい街並みを作り上げていくのか。シドニーにおいてはこの問題に対して、次のようなアプローチが取られています。
それは、単に歴史的建造物を保存するだけではなく、「将来の発展のための開発」も必要であるとし、建物用途の変更を促進するという考え方に基づいています。
その1つの例をクイーン・ビクトリア・ビルディング(以下、QVB)に見ることができます。QVBは1898年にビクトリア女王即位50年を記念して建てられたものです。現在では200店舗がひしめく「世界で最も美しいショッピングモール」と呼ばれています。
このQVBは必ずと言っていいほどガイドブックにも取り上げられており、シドニーにおける観光客に人気のスポットになっています。店内には比較的高級感のあるブランドが軒を連ねており、それが建物の雰囲気と相まって、非常に洗練された印象を受けます。(写真7、写真8)

(写真7)クイーンズ・ビクトリア・ビルディング

(写真8)内側は吹き抜けになっている
このように、歴史的建造物の有する「歴史性」や「美しさ」に加え「現代の利便性」を備えることによって、地域の活性化を図るのがシドニー流の歴史的建造物保存の考え方と言えるでしょう。(文責:三浦佑介)