ただ景観的に印象的だったのが軒先の提灯なども含め、看板サインに赤系が多かったこと。何となく高揚感や食欲を高め、エリアの統一感を創出する色使いが効果的になされているように思いました。
幅3〜4m程度の観光の経路を登っていくと、左右に様々なみやげ物や飲食のお店が並びます。道が曲がりくねりながら幅員が様々に変化し、アジアらしい喧騒の中を歩いていくと何だかわくわくした気分になってきます。しかし狭い道路は店舗に資材を運ぶバイクの通り道にもなっており、完全に観光客の動線と重なっているので注意が必要です。基山街の入口でも一般車両と観光客の車、また観光バスの混雑が目立ったように九?も交通の問題を抱えています。類似する様々な観光の街が悩まされる共通の問題です。
また1800年代末からの金・炭鉱としての街、植民地時代の日本の影響を残す街、世界的な映画の舞台となった映画産業の街という様々な顔を持つ九?にとって、どの時代の街並みがそのアイデンティティとなりうるのかはまだまだ熟慮する余地がありそうですが、現状ではそういった時代は違えど歴史的価値のある建物がかなり点在する状況となっており、街並み景観の面的な整備などはなされていないようです。
交通混雑と街並み整備の問題、このあたりが九?が今後も観光地として人気のある地位を保ち続けるためには、避けて通れない問題と言えます。
(文責:加藤寛泰)