写真5:兵庫横丁に位置し、多くの名脚本が生まれた旅館・和可菜(筆者撮影)
◆おわりに 〜変化するまちなみと継続する文化〜
この神楽坂という街は、花街として、そして文人・映画監督ゆかりの地として、都心でも有数の文化的価値を有する街であると同時に、商業的開発が継続的に進む街であるということが大きな特徴であり、都市計画ではその両輪のバランスをどのように取るのかが最大の課題である。それらを解決する手段として、新規開発に対しては景観まちづくり計画による景観誘導施策が行われているものの、ガイドラインに従うことで、花街建築の特定の意匠のみを用いたイメージ先行型の建築が増えており、まちなみの真正性に課題を残しているという指摘もある(松井・窪田,2012)。殊にまちなみについては、石畳や路地空間、黒塀等の“神楽坂らしさ“を生み出している要因を正確に見極め、次の世代に残していくための努力が求められている。
◆参考文献
・松井大輔, 窪田亜矢 (2012) 神楽坂花街における町並み景観の変容と計画的課題, 日本建築学会計画系論文集, 77(680), pp. 2407-2414.
・日経新聞, ホン書き旅館 粋な半世紀
https://www.nikkei.com/article/DGKDZO39292270T00C12A3BC8000/
・東京・神楽坂ぶらぶらHP
https://www.kaguratour.com/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/%E6%AD%B4%E5%8F%B2/
(文責:大嵜)