路地には必ずと言っていいほど植木鉢が置かれています。狭い路地は緑で溢れています。植木に水をやる住人、植木とじゃれる猫の姿もあります。とても穏やかで、空気がしっとりしています。月島には広い公園や緑地はありませんが植木鉢により、緑豊かなまちが形成されていると思います。
こんな狭い路地に向けて窓があり、プラバシーが保たれるのか疑問に思う方がいるかもしれません。路地を歩いていれば、長屋の中が見えてしまいますし、話し声も聞こえてきてしまいます。ここにはプラバシーという概念がないように思います。その代わり、ここでは高齢者の孤独死がないそうです。何かあればすぐに近隣の人が気付いて、駆けつけてくれるという状況です。プライバシーの代わりに強いコミュニティが息衝いているように思います。
月島のお隣、佃島は佃煮発祥の地としても有名ですが、こちらは埋立地ではありません。ですから月島よりも更に古い長屋があるのです。江戸時代からある住吉神社。川から参拝することを配慮して川沿いに鳥居が設けられています。その鳥居の向こうには超高層マンションが見えます。過去から未来を覗いているような心持がします。

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佃島には佃天台地蔵尊というのがあります。「立ち入ってもいいの?」と思うほど狭い路地の奥にひっそりと佇んでいます。ここには樹齢100年はとっくに超えている銀杏の大木があります。木を除けるような形で長屋が建てられています。まるで銀杏の大木に支えられているかのようです。

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佃島の路地も月島同様、植木鉢がたくさん置かれています。よく手入れの行き届いた植木鉢は泥棒除けにもなります。住人の意識の強いところを泥棒は好まないのです。
東京の真ん中という好立地からこれからも再開発が進みそうな月島、佃島。古い町並みはそのうち消失してしまうかもしれません。
みなさんも古い下町の風情を感じに、一度訪れてみてはいかがでしょうか。(文責:平松彩奈)

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