受賞者名 竹原義二 / 無有建築工房
作品名 100m²の狭小敷地に建つ、内と外が連続する玉手箱のような住まい「101番目の家」


●まちなみ配慮のポイント
 緩やかなカーブと起伏のある町。道幅も4mと身体スケールをもっている。新旧の住宅が混在する町並みとこの土地で築いてきた脈絡を読み取ると、100m²の狭小の敷地でありながら、高さをおさえた建物が、路地や庭、空といった外部空間を引き込み、通りを歩く人や近隣の住人へ視線、風を抜いていかなければならない。そのため、ズレやスキマを作って外部空間を連続させ、道路レベルから一層分落ち込んでいく敷地に対し、木とコンクリートという2つの素材を構造として1:1に絡め合って、力強く、緊張感のある住宅をつくり上げている。

講評
 緩やかなカーブを描く坂道の下りのちょうど曲りのポイントにあって、狭小な敷地に建ちながら印象的な存在感を与え、先の見えない道につながる町並みにも魅力を感じさせる効果を持つ、設計の力を感じさせる仕事である。また、建築の中を通り抜け水路につながる空間構成は、町を流れる風の奥ゆかしさとなり、街並み空間に風の流れる要素も必要であることを示している。更に、建物は光と影のさまざまな変化を面白げに感じさせている。最近の住宅は内部空間の環境性能を重視する余り外部を均一な面で囲い込むことが多くなっている。そのため影や光の変化に乏しい平面的な街並みが形成されることになる。家のうちから生活が流れ出る豊かな昔風の街並みまでは求められないかも知れないが、光と影の織り成す、風の抜ける街並みについてもう1度着目したいと思った。

「まちなみ住宅」100選 審査委員会
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