スウェーデン『住み続ける』社会のデザイン(後編)

東洋大学教授 水村容子

 成熟社会居住研究会では、東洋大学教授の水村容子氏をお招きし、スウェーデンの住み続ける社会の、ソフト面・ハード面のデザインについてお伺いしました。

(6) 高齢者の住まい −安心住宅とシニア型コレクティヴハウス

1) 高齢者住宅のカテゴリー

 最後に高齢者の住まいについてご紹介したいと思います。
 実はこうした高齢者住宅や障害者住宅など、どのようなカテゴリーの住宅を供給するかは基礎自治体であるコミューンが権限を持っており、自治体ごとに供給のメニューは異なっています。ストックホルム市の場合は高齢者住宅というと、シニア住宅と安心住宅、サービスハウス、看護介護住宅が存在しています。ニーズ判定は、日本の介護認定に該当するものです。スウェーデンでは施設はないとなっていますが、サービスハウスと看護介護住宅はニーズ判定を要する、福祉住宅になります。それに対して、シニア住宅と安心住宅は年齢制限がありますがニーズ判定は条件になっていません。ストックホルム市の場合、シニア住宅は65歳からですが、自治体によって50歳からといった様々な年齢設定があります。安心住宅は75歳以上の高齢者といったことが定められています。 fig1