【第二部 座談会 】  
19:20〜20:30
       
 

Question:

 小規模多機能ということで、25人の枠を作られていたが、提供する側のサービスを整えたら25人の枠じゃなくても今の介護保険サービスを使って同じようなサービス提供が出来ると思うのだがどうか。

Answer:

 これは定員25名限定枠で、介護保険のまるめサービスになるので、他の介護保険サービスは使えない。つまり施設に入っている人が他のサービスを使えないのと同じ発想。けれど、僕は、25名はスタート時の話であって、15で足りるエリアに25作ったら無駄になるし、28必要なエリアに25じゃサービスにならない。その地域のサイズを理解できる時代になったら、その地域に必要な数で十分だと思う。

Question:

 要介護度3,4,5でなくては駄目なのか。給付額はどのくらいか?

Answer:

 要介護度1,2は単価を見れば分かるようになるべく使わせないように単価を下げている。
給付額は要介護度3で23万です。施設の介護費用と大差ありません。



Question:

 スポーツ会員券の話と同じだが、実際には25人の症状によって多少金額的なばらつきが出るように感じるがどうか。

Answer:

 それはない。定額制なので。飲み放題・食べ放題と同じように、ビール3杯だからまけてといっても無理な話で、逆に30杯だから追加料金がないのと同じような発想な訳です。

 老人ホームや老人保健施設では、介護度と介護量はリンクしていない。かたや不安でナースコール100回押す人と、かたや要介護度5の寝たきりの人と、どっちの介護度が高いかと言ったら、ナースコール100回の方です。じゃ、どちらが高い料金を払っているかと言ったら、要介護度5の方です。それと同じ仕組みです。その時に必要な人を見ている。これが今までの在宅と発想が違って、今日この瞬間に誰に一番介護が必要かというのが施設の介護。ケアプランとは実は無縁で、プランを作っても、実際呼ばれたら行かなきゃならないわけです。倒れるって言われたら放っとけないでしょう。こっちが安定していたらそっちに行きますよ。その代わり、こっちは少し待ってもらいます。人数がそういう仕組みなのだから当たり前の事でそういうやりくりをしながらその中でまとめてきた。「今日はお父さんがお腹空いているからご飯3杯だからお母さんは1杯ね。」みたいなやり方で、その中で選択して動いているのが施設の仕組み。これと同じ仕組みを在宅にして住宅だけがバラバラにあるという仕組みなのです。

Question:

 対象規模は人口2〜3万人が一つのまとまりでしょうか?

Answer:  これを用意した時点で全国に10ヶ所のモデル地域があって目安としては中学校区という言い方をした。ただし、提供上言うと、中学校区よりもちょっと広くないと厳しいかもしれない。人口規模ではやっぱり2〜3万人欲しい。平均すると中学校区ではだいたい1万人。小学校区は6000人〜7000人。ただ田舎と都会では全然違ってくるから、その辺はエリアによって違いますね。

       
Question:

 在宅で対応出来るというのは非常にいいと思うのですが、田舎で2,3万人というと随分、バラける地域も出てくると思います。将来的には全部一緒にそういう体制に出来るのでしょうか。


Answer:

 いや、出来るのではなく、したかったらやればいいだけの話です。その時に料金がかさむのは仕方ないということではないでしょうか。それとも品質を落としても我慢する。だって、山の中では一週間に一度しか魚を売りに来ないではないですか。その住宅を選択した時点で新鮮な魚が入ってこない場所を選択したということです。それでも、毎日同じように海から直送させろと、いうなら、当然街で売っている3倍するかもしれない。そういう違いがあって当たり前だと言う事を皆、気づいて行かなければならない。


   
Question:  住宅地を選ぶのも住まう人に責任があるという考え方ですか?

Answer:  もちろんそうです。
   
Question:
全国でその辺がきちっとできるのはどのくらいかかると思いますか?

Answer:  これは意外に早いと考えています。早いというのは、さっき言ったように、まだ誰も知らない。でも知っている所は早い。
  例えば、僕らのエリアでは少なくとも市長を含め、行政も皆知っている。それからセンターを見たいと知事が来たのですけど、理由は県議会に僕が説明に行ったから。
知事も議会も、県の担当職員も知っている。ただ、知っているか、知っていないかの違いだけ。その後は、知ってしまうと走りたがるのは当然。住宅費用に公費は要らない。行政側としては明らかに負担が安くて満足度が高い。利用者はそっちがいいと言うのですから。行政担当者としては手を出したがるのは分かりますよね。

   
 

Question:

 私は住み手の立場からなのですが、小規模多機能はかなりエリア限定であって、福祉事業者からみると、早くエリアを押さえないと。要するに、ある意味もう勝負はついていてこれから出店するなんてもうアウトなわけです。
  そういう話は痛いほど分かるのですが、逆にサービスを受けている方から見ると、そのエリアに誰が出てきたかによって天国にも地獄にもなりうる。しかもすごく計画的に行政がエリア圏域を設定されているので今までのようにAも見てBも見て、と言ったようなショッピングが出来なくなる。その意味ではすごく計画がきつくなって競争の原理が働かなくなって寡占状態になる懸念が強いのですが。

Answer:

 この制度を作るときに、僕らもそれを気にしていて、そのために運営協議会を立ち上げた。そのサービスには必ず隣近所の代表者、行政担当者、包括支援センターを入れてその運営を監視する運営協議会を立ち上げないと認めないのです。
  二ヶ月に一回会議を開いて、私たちがどういう人を見ているか、という報告をして必ず、評価を受け続けないという仕組みです。僕の意見はもっと手荒いのですが、そんな事言っても市町村は選べないでしょ。この街が嫌だったら、よその街に行くしかない。これは完全に単独囲い込みの最たる形で、港区が嫌だったら品川に行くしかない。行政を変えろといっても無理なのと同じ事だと思っているし、それからダイエーが来たら、長崎屋は来ないのですよ。それと一緒で、一軒来たら2軒も3軒も並べて店を出す所なんてないのです。後は、買う側が利口になるしかないですね。地域に住んでいる買う側が、この店は駄目よって言って不買運動するとかして追い出すしかない。やっぱり僕は利用する側が利口になるしかないなというのが原点にありますね。

Question:

 2つくらい競わせるのは出来ないのですか

Answer:

 返ってロスが出て意味がなんじゃないですかね。この2つがどの程度違うのかというのもありますけど。

Question:

 これは登録人数が25名なのですけど、利用したくても出来ないという状況が来るのではないでしょうかね。

Answer:

 逆にそれもさっきと同じ話で、町の人が欲しかったら欲しいと言えばいいのだけの話です。なんでユーザーはお金払っているのに、もっと意見を言わないのというのがあって、主体なのに黙って空から落ちてくるのを待っているだけではだめです。もっと強引に行くべきですよね。



Question:

 その点でいうと、おそらく、この人数の良さが分かってきて、もっとやってくれっていう風にニーズが高まるのでしょうね。

Answer:  そうです。そう言う事の意味も大体まだ分からない。現時点ではユーザーはほとんど無知なのですよ。ラーメンに何が入っているか分かっていない。もしかしたら毒かもしれないし、インスタントかも知れない。でも能力がないもんだから、食べれば「おいしい、おいしい」って食べているだけ。

       
   でも、その時にはたくさんの介護保険料を払っておかないと。地域の人がそういう合意形成をしておく必要がある。しかし、この仕組み自体は従前の黙って口を空けて施設に収容されるよりは安い。反対に、そのまま私たちに収容されたいなら誰も作らない。施設の方が楽だし。拉致しておけばいいのだから。仕事としては楽でしょう。ベッドに一つ突っ込んだらいくらですっていう仕組みなんだから、何もしないのが一番儲かります。
Question:

 小山さんの読みだと、その変化というのは結構早く来るのですか。


Answer:

 真面目に思っているのですが、既に、もう言われてもいるんです。銀行員で今、60数歳の団塊の世代のちょっと先の人なのですが、もう収入自体はしっかり確保されている方がいる。もう、そういうレベルの人ははっきり言いますよ。ちゃんと追加料金払うから他の3人を出して俺の一人の部屋にしてくれ。だって一人で暮らしたいのだし、金だって払うから何が悪いのかとはっきり言われます。次の団塊の世代の方がもっと口が悪いでしょ。あの競争社会を生き抜いて来た人たちですよ。しかも、一番金を持っている人たち。年金法の潰れかけの一番おいしい所を持っていくのが団塊の世代なのですから。こうなった時に一番どんどん使う人たちでしょ。その人たちが4人部屋で山の中で結構です、なんて決して言わない。間違っても言わないと思う。僕も言う気はないですけどね。


   
Question:  私たち住宅事業者というのは、いい住宅に住んで、割と利便な所であれば、通えて介護を受けれる場所を用意するだけでいいのですね。

Answer:  世田谷や中野のような住宅地では、そろそろ年齢が一律にポンと上がってくる。そのエリアでは、町内会に一つ小規模多機能型のセンターを作っておくといい。公民館と同じように、サービスセンターを町内会ごとに一つ落としておくと、後は、リフォームの需要がついてくる。各戸のリフォームをしっかりやっておいて、後は死ぬまでそこで暮らしてね、ということです。
   
   
Question:
 これは住んでいる人の負担は少ないのですね。

Answer:  それをしないとどっかのもっと広い土地を探して、40階くらいのビルを建てて、このマスの中に全員詰め込んで、更にお金を払ってもらうしかない。作る側はその方がよいと思うかも知れないけど、使う側が、死ぬ寸前の10年、20年前にそれだけの再投資をするかな、って。僕はあんまりないと思うのですよ。

Question:  先ほどの事例の場合、居住部分とサービス提供部分は必ずセットなのですか。
Answer:

 いえいえ。あれは全くの別物なのです。セットではなくて、別なのですけど、なぜ僕が住宅を隣に置いたかというと、一般の人はまだ分からないからです。まるめのサービスが使えるというサービスの仕組み自体が分からなくてやっぱり不安を持っているわけです。だから、住宅も一緒にセットにして一番近いアパートが便利だろうって。でも100m先のアパートも同様に便利なわけです。


     
 

Question:

 そうすると、自宅で全部介護を受けられるということから、極端な事を言うとサポートセンターは40世帯を面倒みる専用施設という事にもなるのですか。

Answer:

 そうです。だから専用室は自宅だし、居室は自宅だし。介護サービス機関だけが町の真ん中にぽつんとあるという仕組みです。

Question:

 分譲という居住ケースはあるのですか。先ほどのTVの方もご自宅をお持ちで引っ越してこられたという事ですが。

Answer:

 あれは単に住宅を移したということなので、形態は何でもありです。マンションを買う場合もあるだろうし。賃貸に入る場合もあるだろうし。あるいはケアハウスに行く人もいるだろうし。住宅はどこでもいいのです。僕ら、提供側には関係ありません。

Question:

 そうすると、ハウスメーカーサイドとしては、住宅地を分譲する時、バリアフリーでちょっと小ぶりの老夫婦向けの上ものを用意し、小山さんのような小規模多機能をやってくれる事業者を誘致してお互いにギヴアンドテイクでやっていくのがいいのでしょうか。。

Answer:

 ただ福祉事業者の中でこのようなマインドを持っている人はまだまだ少ない。ドライに言うと、今一番儲かるのは収容して何もしない事。なるべく大勢を詰め込んで、何もしない事が一番儲かりますよね。だって一人で幾らという料金体系で、サービスで幾らではないですからね。お一人ココに居るだけで幾らって入る。それがベストでしょう。でも、それはかなり人道に反する。

Question:

 我々住宅メーカーもここ何年か、GHを相当数受注し、年間数百棟レベルを手がけています。今後、小規模多機能が出てきますけども、GHは今後どのような方向性に向かっていくのでしょうか。我々は作ったという責任もあり、今はおそらく人が入っている状況ですが、併設のものも単独のものもありますが、気になります。

Answer:  正直にいって、現在のGHの半分くらいは潰したい。今のGHはGHでない。簡単に言えば増床です。人里離れた老健の隣に廊下でくっ付いたGHなんか、GHという看板を背負った増床でしょう。単に施設の人数を増やしたかっただけで収容のマスを広げただけ。だから夜になると鍵をかけられて、監視されるだけの世界。あれを良いとしている事自体が間違いであって、やっている人も地域の人も意識が低い。だって使うのはあなた達だし、あなたその生活でいいのですか?と言う事を皆想定していない。私は関係ない。あれは、呆けたばぁちゃんが行くのだと思っている。半分以上は行くのにね。そういう発想を持っていない。まず、それが一点。GHが広がった理由は二点あります。一つにGHは行政側も安上がりです。お金を出さなくてもさっきの理屈で箱は民間が用意します。最初の頃にやっていた人は、善意で動いていたから、自分の給料は要らないから住みこみでこの人たちに何かしたいという思いの人たちで運営していたのですから。それがスタートラインなのだから国から見たら「おぉ、いい子達だ」となる。金もかからないし、大変素晴らしいってなる。ところが、補助金を出した途端に、ばっと集まっちゃった。そしたら中には悪い人もいっぱいいて、違法の例もいくつかありますよ。アメリカの例を挙げるとすると、GHを一年後に見に行ったら誰もいなかった。全員、床の下で骨になっていたのですね。でも年金だけはしっかりとそこで受け取っていたっていうのが見つかる世界なのですよね。そういう規制が働かないのはどうしてかというと人が住んでない所にあるから。分からないですね。誰も監視してないから。これが近隣近所にうちが密接している所だったら分かるじゃないですか。そういう監視体制がない所にあるでしょ。で、小さいから資本の小さい人でも参入できたという点。参入して、とりあえずしてやると、一人おいくらっていう世界になるでしょ。サービスの質じゃなくて。普通、ラーメン屋さんだったら煮卵が付くから30円とかなのに、一人来たら幾らという風になっている。投資が小さくて誰でも参入できるという風になると、皆さん参入したがってばーっと広がって8000軒ぐらいになったけど、僕は淘汰されないとおかしいと思うし、僕は淘汰しなきゃならない立場だと思う。淘汰される理由は簡単ですよ。GHも実は地域密着型サービスのみなし指定で4月から移動するのですよ。今まで県の仕事ですけど、これからはGHも市町村の仕事になる。
GHは、みなしで全て市町村が認可します。市町村に。そうすると、今まで言いましたように、地域の監視体制が入るのです。運営協議会を持って、隣近所も交えて二ヶ月に一回報告会をしなさい。GHも全部強制です。その時に皆さんの目にさらけ出して、地域の人から支持されないといけない。今まで誰も入ってこなかったけど、地域の人もそこを見るようになると、さすがにこんな事嫌だって言われて来るでしょう。今は知らないだけから。それから小規模多機能は認知症の人も対象にしますから同じ仕組みが出来たっていうことですね。GHだけの専売特許はなくなったということです。

   
Question:

 中学校区レベルで一つのGHだど多すぎる所もあるでしょうけど、数的、位置的にどのように立地していくのでしょうか。

Answer:

 GHのレベルでいうと町内会よりも小さいレベルですよね。認知症の確率は80歳代で20%を超えるし、65歳以上だと5,6%だから平均して10〜14%。高齢者人口から逆算していくと、どれくらいの人数が必要かは分かる。基本的にGHの絶対原則っていうのは認知障害のための仕組みなのです。認知障害を今よりも酷くしないために、この地域に住んでいる人に地域に住み続けてもらって悪くならないようにするという考えです。GH発祥のスウェーデンは教会区に一つという基準。日本の田舎だとお寺さんに一つみたいなものですか。


   
Question:  有料老人ホームの将来はどうなりますか。

Answer:  有料老人ホームを運営していないから、分からないけど、自分の思いとしては、有料老人ホームはどうして出来たのだろうというと、老人ホームのセット料金販売でやったものの金持ち用だったのです。あんなで施設なんて言われる所に行くのは嫌だ、けれど同じシステムは欲しいから住宅と介護をよこせって、セット売りにはならないのかって用意された仕組み。ところが、今は分離販売の世界に入っている。そうすると伊豆の田舎で7000万の有料老人ホームに入るよりも都心で2・3000万のマンション買って、差額の4000万の介護を買い占めた方が今より裕福な生活が出来るのではないでしょうか。セットの付加価値をどこに求めるかという事じゃないですか。住宅としてすごく立派で金払ってもいいと思っている所でなおかつ死ねるっていうのがポイントですよ。この4月の介護保険の改正はほとんど在宅系に移っていますから。医療報酬も在宅系の方が高くなっていますよね。最後まで生きて死ねる所を用意するのが必要でしょう。
   
   
Question:
 一つは私も川崎市の措置で子供を保育園に入れているのですが、選択の自由ってなかったなぁと。自分は働きたくて働いていますけど、子供には保育園を選択する自由はなかった。そして圧倒的に数が足りないです。使用者の立場からは将来自分も困るという事になるのじゃないかと思う。だけど声を大にしても、保育園は一向に増える事はないという状態でバカな使用者はどう訴えていけばいいのかというのが、質問です。もう一つは、小山さんはどんな事業やられても成功するような気がするんですが、なぜ福祉の世界ですか。

Answer:  その為に選挙があるのですよ。僕らも結構使いましたけど、僕らが言うと利害関係があると誤解が出るので、利用者の人に困った事があったら候補者を連れて市役所に行けって言うのですよ。そしたら聞いてくれるよって。どんどんそれをやったら変わりますよ。あとは、お前なんて変えちゃうよって言うとか。その為に選挙があるのですから。だからそういう力も議会民主主義で動いている国だからこそ、その仕組み抜きで社会を変える事は出来ない。ある程度力を使わないと。そういう人たちを動かす力を使う必要があるんですね。それだけじゃないだろうけど。商売は僕も真面目だし、福祉系の学校出て、福祉の仕事しかした事ない。今は僕らの世界で株式会社とか持っていますけど、別に成功している訳ではない。あれでものすごく大変な赤字いっぱい作ってやっている。いくらやっても皆さんとは違って利益が低いですからね。さっきも配食の話が出ましたけど、3食配って、今日は地域の方と食事会やってきたんですけど、年間に800万ぐらい赤字になる仕事なんですよ。
もちろん。良く言われるのはどうしてそんなことするのかということです。でも、まず飯が食えないと困るでしょって。一週間で一回なら弁当屋で買った方が安い。やっぱり毎日3回来る事に意味があって、一日三回安否確認が出来るという事にすごい意味があるんですよ。その人の生活を支えると言う意味で。で、冒頭に言いましたように、僕は非課税団体ですので、税金を払わない分はそういうところに払うのですよ。だったら赤字だって言われてもしょうがない。だから民間が仕事なんかしたら一発で潰れますよ。


Question:  心配なのは住民の方が、この福祉とか認知症とかにほとんど無知ですから。今回の改正は相当高等なサービスを狙いとしているので、どういう形でやっていけばいいのかと。本当は住民主体でやっていくのがいいんでしょうけど。行政もHPに載っている領域以外は話にいってもなかなか伝わらない。
Answer:

 地域はね、僕らの所だって酷い地域というか、無知でしたよ。最初スタートした頃は、訪問なんかするとですね、老人ホームの名前の入っている車を竹やぶに隠せとか言われました。とにかく、僕が福祉の人間だっていうのを見せたくないんです。おばあちゃんに紹介するときも「病院の人だよ」って。いつの間にか病院の人になっているんですよね。葬式にも400回くらいでていますけど、10年間施設で住んでいたなんて一切言わない。そういう世界が最初はあるんです。そういう世界を変えるためにも24年間地域社会を育てるという仕組みを片側でやってきたんですよ。買ってくれるユーザーを変える努力もしなくてはいけない。僕らは、長い事やっていますから、その頃、通っていた子供たちが今、職員にいっぱいいますよ。だって20年前からもやっていますからね。小中学校の授業も担当しています。そういう風に地域が慣れてきますと、期待感とか見方が変わるのです。そこは僕らの仕事でもあるのですよね。


     
 

Question:

 社福って初代はみんな文化的にも高い思いを持った人々が始まりだとは思うのですけど、2代目、3代目は、自分でどう生きて行こうっという感じがしませんか。

Answer:

 社福は何代目ってあったら駄目ですよ。個人資産ではないですからね。あれは2代目とかがあるのが間違い。社会福祉事業自体が世襲制ではないですからね。寄付行為ですから。初代が社会福祉事業に寄付しただけですから。二代目は全然関係ない。それを世襲制みたいにやっていく社会が妙ですよね。僕もサラリーマンです。

Question:

 長岡でも港区でもいいんですけど、大都市と地方都市で何か差のようなものはありますか?

Answer:

 その辺は結構怒られるような事ですけど、港区の方が小さいんですよね。長岡の人口は今28万でしょ。港区は16万ですよ、夜間は。たまたま通過者がいっぱいいて、夕方になると皆帰るでしょ。住民として捉えるとものすごく少ない。それからもう一つは結局、港区の人は介護状態になると郊外地域に送られるでしょ。多摩や八王子の山奥にね。そんな中で港区から出なくていいんだよっていう仕組みを作っただけですよ。決してあれがいいなんて思っていません。

Question:

 私はマンション建て替えの仕事もしているのですけど、そこで地権者にわりと高齢の方も多くて夜間対応の訪問サービスも必要だなと感じるのですけど、緊急時だけではなく安否確認も可能ということですけど、どの程度巡回が入るんですか。その様子はどうですか。

Answer:

 お金の面で計算すると、すごく面倒くさいですよ。介護保険制度は本当に業界の人でも理解していないこともありますしね。訪問介護の種類としては3種類あります、基本的にはまず、従前からの一回一対応幾らの出来高制です。それも50%割り増しになる夜間料金という料金体系がまだ残っています。第二に今回新たに出来た夜間対応型は会員クラブ制とまるめ制の2種類あります。会員クラブ制は会員登録して1000円払っておくとコール一回あたり幾らかが加算される方法です。その都度かかります。随時コールは1回5800円ですので、要介護度3で計算すると昼間・夜間定時に一回ごと行って、月に6回ナースコール押すとアウトです。7回目からは自己負担の部分。一番安いのは小規模多機能の会員。23000円で込みこみです。うちにいても昼間サポートセンターにきても全部込みです。

 
総括:

 今日はわざわざ長岡からおいでくださいました。ぜひ長岡にもお伺いしたいところです。
運営を委ねられた新橋の特養ホームは3月末に完成で5月入居だそうです。
東京での取り組みも大いに期待しています。これからの地域で暮らす仕組みを楽しみにしています。