【第二部 座談会 】  
19:20〜20:30
       

Question:

 住み替え調査の実施時期は?

Answer:

 1月

Question:

 住み替え調査のサンプル数は?

Answer:

 1/3(1500人中の1/3で500人)

 
Question:

 高齢者優良賃貸住宅(略して高優賃)は規制が厳しいなどで供給が増えていかないようだが、それでも注目度は上がってきているか?

Answer:

 「高優賃」という形で上がってきている訳ではなくて、高優賃も含めて私たちは“ケア対応型住宅”と呼んでいる。当時は民間で新しいものがあまり出ていなかった。私たちもここ1〜2年で急遽取り始めている。規制が厳しい・誰でも入居できるわけではないという厳しい条件があるにも係らず、ニーズはある。現に高優賃ではない、こうしたケア対応型住宅は120件とかなり増えている。

Question:

 レジュメP.5の「住み替えパタン別総額費用」についてですが、利用する人もこの辺は敏感なのではないか。ケアハウス、特養は安いし最近はサービスも良くなってきている。立地の問題はどうなっているか?例えば安ければ遠くへ行くなど。


Answer:

 電話で受けた相談で、東京の人で「寒いところは嫌だ」と九州内で探したり、(この人の場合は九州出身)、房総で探す人もいた。反面、「年をとったら便利なところがいい」と東京へ行ったりと、ニーズは多様。一概には言えない。ライフスタイルによるのではないか。一番強いニーズは、生活に便利な場所がいいというもの。例えば、自立期の間は郊外の温泉付き一戸建てに住み、体が弱くなってきて都内の老人ホームに入った人もいる。自立期には結構広がって色々な所に住むけれど、少し不安になってきたときにどこに住むかと。やはり駅から歩いていける距離とか、交通の便の良いところを求める。次いで良い医療機関のあるところ。
   (スーパー等は駅前ならば大抵あるので)  立川のすおみケアハウスは、ケアハウスとしては日本一だが交通の便が非常に悪い。一括2500万くらい取り、入居対象を65〜75歳(元気層)に絞っている。当初は8割くらいの入りだったが今は待ちが多くなっている。ハード面の設備が良く、夫婦で55u、床暖房、システムキッチンと通常のマンションに近く、食堂の利用も自由となっている。(ケアハウスは比較的地方などが進んだ人が多いので食堂利用が義務というのが普通)
   一括いくら出せるか、という質問で2000万まで出せる人が結構いた。お金は出すから生活空間の良いところに住みたいと。元気な人はソフトよりハードの充実を求め、弱ってきた人はハードよりソフトを求める。その中間の人たちの受け皿がケアハウスだったが、ケアハウスは高齢化しており(平均81歳位)、中度以上の人が多く住んでいるので元気な人からみると入りにくい。するとそこに入れない人たちが何を望むかというと有料老人ホームではない。


 
Question:  ハード面の充実を求めるなら、駅前のマンションではダメなのか?その理由は?
Answer:  実際そういう人もいる。しかし駅前のマンションにはコーディネータ役がいない。ケアハウスなどにはコーディネータ役であるつなぎ役がいる。今度の介護保険の改正では、地域密着型というのを基本理念に挙げており、小学校区に1つくらいの割合で包括支援センターを設け、介護福祉士を情報提供者つまりコーディネータ役にしようとしている。情報は、本人ではなく医師とか民生委員とか、直接個人に対応している人から得てコーディネートに回る。この仕組みが上手くいけば、駅前マンションでも問題ないのでは。情報提供者である専門家の人材育成が重要。
Question:  10年後、20年後の話で、住み替えをするのと在宅で住み続けるのとどちらの選択をするべきと考えるか?
Answer:  できれば頑張って自宅にいたい。けれど次に誰が移してくれるのかと。自分では介護型施設を探すことも出来ない、引っ越しもできないというぎりぎりまで住んでしまった場合、誰が次のステージに上げてくれるのか。今の段階ではNPOは安否確認しかしていないけれども、やはりNPOにコーディネータ役をやって欲しい。在宅介護事務所やNPOの運営が非常に大事。あまり大きな事を言っても仕方ないがそういうことができる国家資格とか。高齢者は色々な側面から考えていかなくてはいけないのでやはり専門家が必要。専門家は情報も持っていなければならない。地域が機能するようになれば自分で取ることはないようになるかも知れないが、今の段階持っていないから自分たちでインフォーマルなサービスを見付けてこなくてはいけない。私は専門性を重視するので、その人材育成が必要なのではないかとずっと思っている。
Question:

 会員の目的が住み替えだけではなく相談も多いと思うが住み替え以外の相談のメインは?住み替えを実践する人はどれくらいいるのか?

Answer:

 住み替えを実践した人については、最終的には自身の判断に任せているので、住み替えを実践した人のデータはとっていない。音信不通になってしまう人もいるが、追いかけていない。今年から相談後のフォーローをやっていこうと決めている段階。住み替え以外の相談は、ほとんどがライフプランの相談になっている。住み替えの相談は全体の20%ほどで、住み替え以前の相談がメイン。現在どんな暮らしをしているかとか、2時間でその話をまず受ける。その結果、自分で住み替えはしないなど結論を出す場合もある。5年以上のつきあいの人もいるが、何かあったら相談できるという事が支えになっているという人もいる。

Question:

 入会の動機は口コミか?

Answer:

 口コミ、メディア、ホームページを家族が見ての相談など。

Question:

 家族の相談というのは?

Answer:  子供達が引き取れたくても家が狭いなどで引き取れないので近隣に適当なところはないか、痴呆が進んで負担が限界、医療を必要とする、などといった事情。
 
Question:  高齢者のニーズで地域コミュニティが比較的大きいが居住コミュニティというのをどう作っていくのか?作っていけるのか?
Answer:  地域密着サービスの中で、今まで有料老人ホームなどは外部から入ってくる事を嫌ってクローズされていた。その地域から孤立していた部分をむしろ拠点にして外の人に使ってもらう事などをしていくことによって、コミュニティを作るというか行き来できる環境をつくっていくことが大事かなと考えている。
Question:  ひばりが丘などは、高齢者だけでなく一般の人が入れますよ、というとコレクティブに近い。高齢者だけでなく多世代の人が住めるという形がこれから重要かなと思うのだがどうだろうか?
Answer:  理想的に言えば、同世代のみが集まって住むのは異常。多世代が理想だと思う。しかし若い人とお年寄りが一緒に暮らすと別のサービスも発生するので難しい。(ひばりヶ丘も)若い人は結局一人も入っていないはず。どうしたら若い人に入ってもらえるのか。例えば、そうしたサービスは一切なくして家賃を下げるとか。他に、施設の名前は忘れたが複合型施設があってそこは高齢者も障害者も若い人もごっちゃになって住んでいる。それはひとつに、駅前という立地が大きいようだ。勤めにも便利なところが若い人たちがそこに住んでいる理由。ただ、殆ど世代間交流はない。それぞれがそれぞれの良さで居住しているという事で、多世代ではあるけれど交流はないし、つくられていない。
   ぼちぼち長屋(名古屋)は、今は若い女性が3〜4人住んでいる。若い人は高齢者と交流を持つことで家賃が少し安くなっている。
Question:  交流はうまくいっているのか?
Answer:  面白いという意見はあるらしい。
Answer:  高級高齢者対応マンションを造ったら、6割がお年寄りだった。あとは家族連れ、単身者。朝市が開かれ、そこで単身者とお年寄りの交流がある。最上階にコミュニケーションルームがあり、月1回イベントがある。入居者同士で決めており強制はしない。単身者にも評判がよい。
Question:  交わるところまでいっているのがすごい。(その形式は)育つのか?
Answer:  ほっておいても育たない。
Answer:  そういう能力がある人を雇う必要がある。
Question:  意識的に出て来始めている?
Answer:  NPOなど。目線が入居者と同じというのが大きいと思う。
Question:  どこまで立ち入るのか?親しくなればなるほど金銭的な問題とかにも立ち入る事になるのでは。
Answer:  ルールが大事。最初からはっきりと決めておくべき。何かあったときにその都度決めていこうというのでは入居者は不安。グループリビングで、ルールをちゃんと決めていなかったために空回っている事例もある。
Answer:  最近NPOも玉石混合。一NPOと一高齢者は、上手くいく時はいくがダメな時はとんでもないことに。トラブルが出てきてしまったときが怖い。オランダで言えばシニアコレクティブ協会、アメリカは母体(全米退職者協会など)があってそこがリスクマネジメントをする。そういうまとめる団体が必要では。
Question:  資料4ページの住替えパタンの部分だが、住替えはエネルギーが要るものだから最初から計画しているのではないか?すぐに探せるものなのか?
Answer:  すぐに探すのは難しい。一段落のところで1回整理される。住替える時に色んなものを捨てていく。できるだけ今の暮らしを守りたい。