イスから考える住まい・まちづくり PART2 | |
小澤 紀美子 | |
●学習のねらい
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現代の生活では家庭内の創意工夫だけでは成り立たず、何らかの形で工業化製品を生活に取り入れている。そこで私たちの身近に接している製品がどのように作られているかをその生産工程にまで発想を広げ、技術のおもしろさを考えさせます。 |
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●対象
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中学校技術・高等学校(工業高校)〜大人 | |
●ポイント
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不断何気なく使っているイスから身体と人との関係、空間との関係を知り、想像力の翼を広げ、発想力を豊かにしてくれます。 | |
●材料
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スケール、紙、パソコン<インターネット> | |
◇学習の流れ | |
STEP1 実物で知る工業化とデザイン 生徒の身近にあるイスはほとんどが工業化されている。その製品がどのようにデザインされているか、生産工程との関連性がどのように配慮されているかを実物で学ばせたい。学校内で使用されているイスでも良いが、柳宗理がデザインしてミラノ・トリエンナーレ(1957年)で金賞を受賞しているバタフライ・スツールはシンプルなデザインで工業化の意味を考えさせるのに良い題材である。大量生産のために成形型合板技術を用い、ふたつの同型部材が座面の二本のネジと1本の真鍮棒を用いて左右対称形に結合しているイスである。
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STEP2 イスを創る(実践活動) 個人製作ではなく共同製作をさせたい。家具的な発想のイスではなく、建築的な発想を取り入れたベンチの製作を実践させたい。学校空間のどこに置くか、校舎の外の校庭も視野に入れて置く場所を考えるところから発想させ、さらに小学校の低学年や幼稚園に寄贈する視点も取り入れたい。並んで座るベンチなのか、L字型なのか設置場所と関連性も考慮する必要がある。実際の活動場面では分業と協業がでてくるであろう。こうした活動を学校トイレ空間の改善プランのデザインへ発展させていくことも可能である。 一方、資源、環境に視野を広げていくためには日本の木材の現況を学び、間伐材の活用、集成材の活用、さらに日本建築に用いられている技や道具に興味を持たせ、木材加工を建築の学習へと発展させていくことも必要であろう。 |
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STEP3 イスから広がる学び 自転車の修理もやったことのない生徒が多い。そこで、イスの発展的な題材として障害のある人たちに不可欠な車椅子を取り上げたい。車椅子の乗車体験を取り入れ、都市環境の問題を探求し、さらに中古の車椅子を入手して修理し、再生していく学習によりリサイクルの意義、意味を考えさせることも可能である。 |
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STEP4 まち(公共空間)のイス調べ ・どこに |