図1は1990年以降の世界の主な自然災害で死者数が5,000人を超すものを示しています。阪神・淡路大震災で約6,500人、東日本大震災では不明者を含めて約2万人。ところが不幸なことに、インドネシアのスマトラ島の地震や2010年のハイチの地震ではM7.1程度の地震で22万人に上ります。このように、地球規模で眺めると巨大な自然災害がいたるところで起きており、その原因も地震、ハリケーンや台風等様々です。また、アジアの主な自然災害(1990年以降)で死者数1,000人以上のものを整理してみると、図2の通りです。
そして、風光明媚な日本は、それ故に災害大国です(図3)。2000年以降、世界中で起こる地震の2割近くが日本および近海で起きているのです。すなわち、我々が通常平時として認識している時間帯は、むしろ頻繁に発生する災害と災害の間に過ぎなく、その狭間で我々は一見安全に暮らしていると言うべきです。従って、長期に亘って持続可能な住まい・まちづくりを考えるのであれば、対症療法的な取り組みでは基本的に極めて不十分です。
ところで、東日本大震災の被害の特徴は、その直後の津波や原発の放射能による被害も加わり、大変広域にそして長期に及んだことです。従って、都市や地域によって事情が質・量ともに異なるために、その復興ソリューションも異なることです。津波の被害にしても、大規模な津波で繰り返し浸水した歴史があり、それも数十年の間隔で起きたことがわかります。問題なのは、災害ごとに克明な調査が行われ優れた報告書が残っていても、それがその後の政策や我々の営みに活かされない、そして当事者以外は忘れ去りまた悲劇が繰り返されます。