世界の環境共生住宅 -07

ショコラーデン・ファブリーク

DATA

 
■立 地 ドイツ連邦共和国 ベルリン市
■竣 工 1875年 / 改築終了1987年
■規 模 1棟
ショコラーデン・ファブリークは、ドイツ・ベルリン市のクロイツベルク地区にあり、古く朽ちた建物に住人たちが自ら手を施してリノベーションをしたチョコレート会社+個人住宅です。ベルリンの建築物は、通りに面して会社や工場を設け、中庭を挟んだ奥に従業員の住居を設けるスタイルが多く、こちらもその一例です。この会社の設立は1981年で、女性と子供が活動する団体として公認されたことで当時話題となり、また、環境を意識した建物が実験的な発想であったこともあって注目されつつも、改築には長い時間を要しました。コストを抑えるために、プロジェクトのプランニングはエコグループと一緒に自ら計画して進め、実験住宅として支援してくれるDIY会社の(資金など)協力によって完成しました。
この改築プロジェクトの指針は、水・ゴミ・建材・エネルギーなどのテーマを掲げ、特に緑化屋根・雨水利用・堆肥化型トイレに力を注いでいます。
通りの外観からは全く想像のできない緑化された中庭と建物が特徴的です。

(参考資料:Oekologische Massnahmen im Frauenstadtteilzentrum Scokoladenfabrik e.V. in Berlin-Kreuzberg / S.T.E.R.N Behutsame Stadterneuerung Berlin)

緑化屋根です。作業は9月に行われ、傾斜31°の屋根に足場を組んで全体に土を乗せてからロール上の芝生を被せました。屋根裏の床板は、虫に食われてボロボロだったため、新しい床材を張って防虫効果のある塗料を塗ってから、ゴムのマット材を張りました。その部分の屋根は緑化屋根にはしないで、ガラス張りにすることで太陽エネルギーを利用した温室にしてあります。そこでは、パッシブにエネルギー活用して、野菜や植物を栽培しています。

(参照:Oekologische Massnahmen im Frauenstadtteilzentrum Scokoladenfabrik e.V. in Berlin-Kreuzberg / S.T.E.R.N Behutsame Stadterneuerung Berlin)

中庭は低めのブロックだけで隣の建物との境界をつくり、小さな扉を付けて中庭の公園を共有できるようにしています。子供用の遊び場は、奥に作ることで安全面も考慮されていますが、閉鎖的にならない工夫がされています。

透水性の良い石材などを使用し、ゴミ捨て場には、柱を立てるだけで大げさな壁は作らず、必要なときに柱につけた紐を使用して、シートを張る程度で、開放感を極力もたせてあります。

住居へ上がる階段や通路にある電灯は、通るときにスイッチを押して数分後には消灯するシステムが導入されています。そのため通路や階段はいつも薄暗く感じますが、節電につながっています。

屋根からパイプを通して地上のタンクに雨水が貯まるようになっています。その水で主に植物に水を与えたり、トイレに使用しています。

通りから見た外観です。隣の建物も全て同時期に建てられていて、5階建て、または6階建ての高さに統一されています。その建物を改築して今でも住居として使用され、街並みに統一感ができています。

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