世界の環境共生住宅 -06

環境政策の先進都市フライブルグ

DATA

 
■立 地 ドイツ フライブルグ
■竣 工  
■規 模  


ドイツ南西部、黒い森の端に位置するフライブルグは、およそ900年の歴史をもつ人口約19万人の都市です。まちの中央には、広場に面してゴシック建築の傑作ミュンスター大聖堂があり、歴史的なまちなみが大切に保存されています。また、7人に1人が学生という大学都市としても有名です。そのような歴史と活気のあるまちで、長年にわたり様々な環境政策が推進され実現しています。

 

フライブルグでは、戦後のまちの再生において、車社会にかたよった方法ではなく、大聖堂を中心としたまちづくりを推進しました。その結果、新旧が調和した美しいまちなみがつくられるとともに、安全で快適な歩行者・自転車空間が確保されています。その背景には、路面電車とバス、ドイツ国鉄のネットワーク化と環境定期券の発行、旧市街への自動車の乗り入れ禁止と駐車場システム、自転車道路の拡張など交通対策に関わる積極的な施策を実施しているところにあります。その他、フライブルグではゴミ処理対策、エネルギー供給対策など様々な環境施策が実施されています。

急勾配の屋根に丸窓など、屋根や外壁の素材、窓のデザインに伝統的な意匠を施すことによって、中世のまちなみと新しいまちを調和させています。特に大聖堂周辺の建築基準はきびしく徹底したコントロールが図られています。また、自然石を使用した道には、所々にモザイク柄が施され、楽しげな雰囲気を醸し出しています。
町の中には路面電車の線路と、延長13kmを超える「ベッヒレ」という800年前に防災対策としてつくられた水路が巡らされています。市は、路面電車、バス及びドイツ国鉄を1枚のカードで利用できる環境定期券を発行し、公共交通機関の積極的な利用を促がしています。また、休日には、定期券1枚で家族全員が乗り放題となる特典があり、週末に集中する交通量の削減を目的とした対策がなされています。

一時は約2万人いた居住者が郊外の住宅地が整備されると共に減少し、夜間のまちは活気を失いつつありました。そのひとつの対策として、住居と立体駐車場を合わせた3階建てのパーキングハウスがまちの縁辺部に建設されています。このパーキングハウスは、@居住域の確保A来訪者のための駐車スペースの確保B幹線道路からの交通騒音の遮断Cまち中からの景観形成など、多様な機能を持つまちのエッジとなっています。

まち中に分別ゴミ箱が設置されています。市のゴミ処理の基本構想は、@ゴミ減少対策:コンポストなどによる家庭での生ゴミ処理、Aゴミ再利用対策:8つの種類に分別、主要3種類のゴミ分別容器を配布、ゴミカレンダーによるインフォメーションB廃棄物処対策の3つの方針からなりたっています。このような徹底した対策により、1990年534kg/人であった排出量が1995年時点で280kg/人まで減少しました。

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