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川沿の三角屋根


 
住所:   北海道札幌市
種別:   戸建住宅
居住者:   夫婦、子供二人
次世代基準の地域区分:   ?
設計者:   ?北海道建築工房
施工者:   ?水岡工務店
施工年:   1990
敷地面積:   383.41m2
建設面積:   59.310001m2
延床面積:   104.99m2
構造:   その他(混構造など)
階数:   2階
 
地域性を生かした点:
この地域は札幌軟石の切出し場に近く、札幌のなかでも取り分け多くの軟石積みの住宅が作られていたが、老朽化の時期を迎えて次々と建替えられ失われていった。同じ造りの家に住まわれていた近所の方がこの住宅を見て、“再利用できたのか”と悔しそうに話されたそうです。 施主の強い愛着が生み出したこの小さな住宅はこの地域の住まいの歴史を記録し記憶させてくれる大きな存在となっている。
エコ技術について特に配慮・工夫したこと:
小樽運河沿いの倉庫群の様に、木造の骨組みに外壁として札幌軟石を積み上げた住宅に住んでいた施主は、この石壁に強い愛着があった。何とか石積壁を失わずに家を新しくしたいという難題が持ち込まれた。 まず、木造の骨組みを全て撤去し、石積壁だけを残して内側に断熱材を吹き付けた。その内側に新たにブロックを積み上げ、コンクリートスラブを掛け渡して石壁との二重壁構造の1階を作った。次に、2x4構法で背高ノッポの三角屋根を構成し2階を作ることにした。新たな2階部分はすっぽり金属板でくるんで歴史を刻んだ石壁との対比で新たな表情を構成した。ここではブロック二重壁の手法を逆の手順にして、外壁の保存再利用に役立てることにしたのである。 窓は3重ガラス入り木製窓で断熱性能を高めて南・東・西面とトップライトからの採光を取り込み、玄関に設置した石油ストーブ1台で家全体の暖房をまかなっている。

住んでみて 良かった点・得したこと:

10数年前に家を直そうと思った時、2,3の住宅メーカーに問合わせましたが、いずれも”この大きさでは家として狭すぎるので、壊して建て替えたほうが良い”という回答でした。 そんな折り、”札幌パストラルタウン美しが丘”の建築家の建てた家 の街並みで小室さん設計の平屋ブロックの家が目に飛び込んできました。落ち着いていて、シンプル、ちょっとスマートな家に魅せられ 建築家の方に一度相談してみようと思ったのが、この家を建てるきっかけでした。
”4人家族には丁度いい広さでしょう” との言葉に勇気づけられ、幾多の困難を乗り越え完成した家は、一言で言えば、コンパクトにすっきりまとまっていて夏涼しく、冬暖かい、とても住みやすい家です。外観も 絵本の中に出てくる小人の家のようでとても気に入っています。特に夜、窓からもれる白熱灯の明かりや、玄関の門灯が 石壁に陰影をつける姿は美しいです。
昔の職人さんたちが積み上げた外壁の石は、微妙に狂っていて四角形がひし形に、玄関側から裏口側に高低差があるなど大工さん泣かせのものでしたが、見事に修正し、完璧に仕上げてくれました。
坪数が少ない割には、遊びにくる人達の第一印象は、”広い家”です。2階居間部分には、キッチンとの間に戸棚があるだけで間仕切りがなく天井が高いので、とても開放的で、それが広さ感に繋がっているのだと思います。
「住み心地のよさ」
夏:1階は石造りなので充分涼しく、2階は窓が 約150cm x 130cmと非常に大きく、窓一面から 風が入ってくるので快適、クーラーは不要です。 外気温が30℃位の時、家に訪ねてくる人は 一様に”クーラーを入れているの?”というほど一瞬で汗が引きます。
冬: 暖房は、玄関にあるFFストーブ1台で充分暖かく過ごしています。部屋のすみずみまで室温 が一定で快適です。漬物の置き場所に困るほどです。日当たりのいい日中は大きな窓から日差 が入ってくるので消し、夜も乾燥しすぎるので消して寝ています。 また、外気温が−10℃位のシバレル(特に寒い)明け方の再点火時にも、室温は18℃位を 保っているので寒さを感じません。結露はほとんど発生しません。 暖房器が玄関にあるので靴がいつも暖く快適で、ストーブ1台だけなので暖房費は少なくてす みます。
他には、屋根が急勾配なので冬期の降雪時にも屋根に雪の積もっていることはなく、落雪の心配がありません。以上 きりがありませんが、特に気づいた点です。
 

元の住宅



正面側外観



外観



内装


 
 
採用している要素技術

1) 自然エネルギーを活かす工夫
★★
2) 効率の良い省エネルギー型設備機器の活用
★★
3) 暖かさを逃さない・暑さを入れない工夫
★★★
4) エネルギーを大事にして家を建てる工夫
★★★
5) 大切に長く住むための工夫
★★★
6) 環境配慮型建材等の活用
★★★
7) 自然素材の活用
★★★
8) シックハウス対策製品の活用
★★
9) 室内の空気を清浄に保つ工夫
★★
10) 誰もが安全で暮らしやすい工夫
★★
11) みんなに自慢できる素敵なまちにする工夫
★★★
12) 生き物や植物にとっても心地よいまちにする工夫
★★
 
 

★:少しでもとりくんでいる ★★:積極的にとりくんでいる ★★★:主要なテーマとして、積極的にとりくんでいる

 
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