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脇町の家


 
住所:   徳島県美馬郡
種別:   戸建住宅
居住者:   夫婦、子供二人
次世代基準の地域区分:   ?
設計者:   新居建築研究所(新居照和+新居ヴァサンティ)
施工者:   アズマ建設(坂東隆之、長尾賢一)大工棟梁:本庄博
施工年:   0
敷地面積:   412m2
建設面積:   87.910004m2
延床面積:   153.75m2
構造:   木造
階数:   2階
 
地域性を生かした点:
○周辺環境を生かし、生かされる空間 四国山地と阿讃山脈の間を流れる吉野川の田園地帯にあります。南東方向に地域の聖山「高越山・おこうつぁん」を望む敷地です。この地勢的特質を顕在化した住宅形態と居住空間をつくりだすことを試みました。自然環境を配慮しない郊外型環境が迫ってくる状況に対して、映し出される空間が自らの地域づくりに作用するようにという思いがあります。建築によって、山や谷、川や田畑、林という地勢や変化する自然の営みが意識させられること、外部空間と関係付けた多彩な内部空間によって、地域環境へと意識の領域が拡がることを試みました。 庭はプライバシーを確保しなければならない最小の領域だけを塀で囲い、樹木はそれを補う緩衝体として配置しています。できるだけ周辺の雑木林に樹種をあわせ、山々にあわせたマウンドやデッキを配し、菜園を周辺の田畑の境界に置き、周りの環境とつなげています。
エコ技術について特に配慮・工夫したこと:
○地域の天然材料を活かす。 海外の森林がなくなる一方、地域の林業が衰退し地元の山肌は砂漠化する実状があります。現しの地場杉の架構と天井材で大地の懐に包まれるように地域空間に構築し、人里と山をつなげようと試みます。安価で丈夫、維持費もかからない焼き杉板を外壁に、その他、地場産砂利、柿渋や藍染の和紙、伝統的塗などの地域素材を、空間を生き生きさせる要素として使用しています。墨の黒色は周りの緑を映えさします。
○ 汚染源できれいな水にして、緑を育みながら周りの自然に帰っていくプロセスを空間に表現する。 石井式合併浄化槽の処理水や屋根からの雨水は、洗面所や浴室から見える裏庭のつくばいから湧き出て、せせらぎをつくり水生植物を育みながら、通学路に沿った玄関アプローチへ流れていきます。あふれた水は地面に浸透したり、小川に流れ込みます。住まいと水との関係性を豊かに表現します。

住んでみて 良かった点・得したこと:

奥様:木に囲まれた住まいは、人相手の仕事でストレスがたまりがちな私の体を癒してくれます。 1階広間は仕事用の中庭風サロンです。親しい友達が来たら、眺めのいい2階広間に大体上がっていきますね。階段を上がるときには、大きな開口部の向こうの青い空を見ながら山に登る気分になります。周辺環境と内部をつなぐ庭空間を、無理してでもつくって良かったです。
ご主人:「おこうつぁん」が展望できる2階食堂・広間に自然とみんなが集まってきます。よく、窓際の床に寝そべって、天井の杉を眺めていますが、木の表情というのはぜんぜん見飽きませんね。夜は夜で高窓から見える、降るような星空にいつも感動しています。家に帰る道から、大きな窓から漏れる明かりと、木の色合いが見えて、ああ、今日も家内がいるんだなぁって、暖かい気持ちになれるんです。合併浄化槽によってきれいなった水は、せせらぎばかりか、庭の芝や野菜、花の散水に使っています。植物がとてもよく育って、まさに魔法の水です。私達の影響かどうかわかりませんが、お隣の庭や菜園もお花がいっぱいになってきましたね。
 

自然素材を活かした内装。(撮影:北田英治)



地域の聖山「高越山」を望む。(撮影:北田英治)



東側外観/西の丘陵地を背後にした夕暮れ時。(撮影:北田英治)



「おこうつぁん」を中心に、拡がる風景と一体となる食事空間。麓は、吉野川が流れる。(撮影:北田英治)



合併浄化槽できれいになった水は、通学路の傍の水辺の植物を育みながら、自然に帰っていく。(撮影:北田英治)


 
 
採用している要素技術

1) 自然エネルギーを活かす工夫
★★★
2) 緑を活かして室内を快適にする工夫
★★★
3) 効率の良い省エネルギー型設備機器の活用
★★
4) 太陽エネルギーを積極的に活用する工夫
5) 暖かさを逃さない・暑さを入れない工夫
★★
6) エネルギーを大事にして家を建てる工夫
★★
7) 大切に長く住むための工夫
★★★
8) 環境配慮型建材等の活用
★★★
9) 自然素材の活用
★★★
10) シックハウス対策製品の活用
★★★
11) 室内の空気を清浄に保つ工夫
★★★
12) 誰もが安全で暮らしやすい工夫
★★★
13) 生活ごみを減らす工夫
★★
14) 水の使用量を減らす工夫
★★★
15) みんなに自慢できる素敵なまちにする工夫
★★★
16) 生き物や植物にとっても心地よいまちにする工夫
★★★
17) 心地よい庭つくる工夫
★★★
 
 

★:少しでもとりくんでいる ★★:積極的にとりくんでいる ★★★:主要なテーマとして、積極的にとりくんでいる

 
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