<戻る
 

糸満兼城の家(いとまんかねぐすくのいえ)


 
住所:   沖縄県糸満市
種別:   戸建住宅
居住者:   (当初)夫婦、子供二人 (現在)母
次世代基準の地域区分:   ?
設計者:   中農一也
施工者:   データなし
施工年:   1995
敷地面積:   302.20999m2
建設面積:   79.639999m2
延床面積:   136.58m2
構造:   その他(混構造など)
階数:   2階
 
地域性を生かした点:
?本土に比べて2倍の豊かな風量  
年間の3分の2は冷房が必要なほど暑い沖縄ではあるが、本土に比べておよそ2倍の風量があるため、真夏の炎天下でも木陰に入れば涼しい。この豊かな風を住宅に取り込み、冷房付加の軽減を図る。
⇒【風】
?全国で最も多い降雨量  
 国内では最も降雨量の多い沖縄ではあるが、水源をもっぱら北部のダムに依存しており、ヤンバルの豊かな自然の破壊が見られる。そのため県民一人一人の水源確保と節水・リサイクルが求められている。
⇒【雨水】   
?本土に比べて強い日射し   
強い日射しを自然採光としてうまく住宅に取り込み人工照明負荷の軽減を図る。また強い日射しによる建物のヒートアップを防ぐため断熱性の高い材料を使用し、冷房負荷の軽減を図る。
⇒【光熱】
□ 沖縄の伝統的集落   
糸満市指定文化財「大城家」を有する伝統的農村集落内に位置する。
⇒【歴史】
□ 琉球石灰岩台地の高台  
集落は、沖縄特有の琉球石灰岩で形成された高台にあり、高台の足下には湧水(ヒージャー)があり、拝所として今も使われている。
⇒【水循環】
エコ技術について特に配慮・工夫したこと:
□ 省エネルギー
「2層吹き抜けのリビングルーム」「風の塔」「2階テラス」により垂直・水平の『風の道』『ライトコア』を、また地下には10トンの『雨水タンク』をつくることによって、亜熱帯性海洋気候の特徴である豊かな風・光・雨などの未利用エネルギーを最大限活かし、省エネルギー化を図っている。
□ 資源の高度有効利用  
コンクリート二次製品であるブロックを使用し型枠用合板の消費を抑えることにより熱帯林の保護に努め、ロー・エミッションを図ると共に、石井式合併浄化槽を導入し家庭排水の処理水を再利用することにより水資源の高度有効利用を図っている。
□ 地域適合・環境共生  
屋根に降った雨水を「天水」として受け止め生活用水として大切に使い、一度使った汚れた水は合併浄化槽でBOD1mg/lまで浄化し再度生活用水として使い、余った水は庭の素掘りの「せせらぎ」に流しビオトープ(カエル、トンボ、蛍等が棲息)を形成し、あふれた水や敷地に降った雨水は全て地下浸透させることにより、地域の生態系との連繋や水循環の再構築を図っている。                                           また、伝統的な農村集落にあることから、建物のセットバックによる前庭空間の確保や県産赤瓦葺き屋根、琉球石灰岩の舗石、粟石の石垣、ヤシ・黒木・バナナ・ブーゲンビレアなどの亜熱帯性樹種の庭木などにより、総合的なまちなみ景観と地域の緑化への積極的な配慮を行った。  その上、戦後アメリカ軍が持ち込んだコンクリートブロックや「サンロード7」という浸透性舗装材、琉球赤瓦、琉球石灰岩など沖縄産の材料を使うことによって、地域文化・地域産業の反映にも心がけた。
□ 健康快適・安心安全  
「2層吹き抜けのリビングルーム」「屋上に突出した風の塔」「2層吹き抜けに連なる2階テラス」により、垂直・水平方向の『風の道』を創出すると共に、ジャロジーや欄間窓を設けることにより常時風が流れ熱がこもらない工夫をし、適切で充分な通風・換気性能を確保している。

住んでみて 良かった点・得したこと:

□ 風と光のコアがもたらす快適な室内環境と省エネルギー
住宅の中心部にある2層分の吹き抜けによって、風が室内を通り抜け光が注ぎ込み、涼しくて明るい室内環境で快適です。そのため、昼間は、室内の照明は不要ですし、クーラーも寝室に1台あるだけで、しかも年に2週間程度使うだけですので、電気代などの省エネ効果は絶大です。
□ 一石何鳥もメリットがある雨水利用と水のリサイクル    
屋根に降る雨水は、風呂や台所・洗濯の水に使い、その汚れた水は「石井式合併浄化槽」でリサイクルし、その処理水をトイレや庭の散水に使い、余った水はせせらぎに放流し、最終的に土に戻しています。雨水で浴びる風呂は、カルキ臭くなく肌に優しく快適です。その上、水道代もコストダウンしています。雨水利用と水のリサイクルは、一石何鳥もメリットがあります。
□ 庭のせせらぎ(ビオトープ)が子供たちの遊び場    
テレビゲームで部屋に閉じ篭りがちな現在の子供たちですが、この地域の子供たちは、前庭のせせらぎに入って、ヤゴやカエルを捕まえて泥だらけになって遊んでいます。
 

全景



ビオトープ



2階吹き抜け



2階吹き抜け


 
 
採用している要素技術

1) 自然エネルギーを活かす工夫
★★★
2) 暖かさを逃さない・暑さを入れない工夫
★★
3) エネルギーを大事にして家を建てる工夫
★★★
4) 大切に長く住むための工夫
★★
5) 環境配慮型建材等の活用
★★
6) 自然素材の活用
★★
7) シックハウス対策製品の活用
★★
8) 室内の空気を清浄に保つ工夫
★★
9) 生活ごみを減らす工夫
★★
10) 水の使用量を減らす工夫
★★★
11) みんなに自慢できる素敵なまちにする工夫
★★★
12) 生き物や植物にとっても心地よいまちにする工夫
★★★
13) 心地よい庭つくる工夫
★★★
 
 

★:少しでもとりくんでいる ★★:積極的にとりくんでいる ★★★:主要なテーマとして、積極的にとりくんでいる

 
<戻る