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石井の家


 
住所:   徳島県名西郡
種別:   戸建住宅
居住者:   母、娘夫婦、子供三人
次世代基準の地域区分:   ?
設計者:   新居建築研究所(新居照和+新居ヴァサンティ)
施工者:   アーキテック(戸田輝彦、吉本克見)、大工棟梁:秋山武人
施工年:   1996
敷地面積:   441.63m2
建設面積:   120.59m2
延床面積:   163.25m2
構造:   木造
階数:   1階
 
地域性を生かした点:
○周辺環境に生かされ、生かす空間 自然環境を配慮しない郊外型環境の状況に対して、遠くの山から近隣の佇まいまで田園環境の関係性を、内部と外部の空間によって際立たせようとしています。外からは周辺の田畑や、山々や空を感じさせるような形態を意識しています。1階広間は大きな開口部と空間が、外部空間にいる気分にさせてくれます。2階に上がると、西方向は拡がる水田に面して丸太の柱廊と赤い壁面が夕陽で染まり、北面は吉野川一帯の田畑や讃岐山脈までくっきりと映し出されます。四季折々の田園環境の中にいるという空間経験が得られ、人も大きな自然の営みの一部であることを日常生活の中から感じることを期待します。
○自然の循環がもたらす恵みを、感動する空間で表す。 生活の水の流れを目に見える環境にすること、そして生き物が棲み、楽しく美しくなることが大切だと考えています。地場木材による新しい魅力が感じる空間づくりも必要です。開いた生活空間を通して、人が感動したり喜びを感じたり、日々の発見につながる経験が、個性ある地域づくりの礎になると考えます。
○庭の空間意識 既存樹木を再配置した建設後、建築主は地元の山林で見られる様々な樹を植え植栽に励まれています。野鳥がひっきりなしに池の周りに飛んでくるようです。そこには、ご家族は敷地を塀で囲む気持ちは全くないと言えます。
エコ技術について特に配慮・工夫したこと:
○地域の天然材料を活かす。 海外の森林がなくなる一方、地域の林業が衰退し地元の山肌は砂漠化する実状に対して、地場木材(主に杉)を積極的に活かす試みをしています。杉の大きな架構を大地の懐に包まれるように地域空間に構築し、人里と山をつなげます。大きな空間と対比する小さなヴォリュームの和室空間は、土壁、和紙、萩天井などの素材で包み込んでいます。外壁に安価で丈夫、維持費もかからない焼き杉板はじめ、地場産砂利、伝統的塗など地域素材を生かそうと意識的に使っています。
○太陽の動きや空気の流れを生かす空間 南と北の山々に対応して南北に大きな開口部を設けています。南面する軒は一間程出し、冬は暖かい光を住まい奥深く取り込み、夏は強い日射しを遮ります。冬は暖められた空気が1階から2階へと巡り、夏は涼しい風が家の中を通り抜けます。2階の天井の抜けた子供室はストーブを使わないですむそうです。
○水循環を意識した空間 生活排水は高度処理する合併浄化槽で浄化し、その水で満たされた池は潤いを与え、住空間を映し出すようにしています。池には睡蓮やメダカが泳ぎ、溢れた水は、小川に流れていきます。水を介して生活のあり方や、地域の水環境まで、目で見え、実感できるような空間を意図しています。
○先祖の遺産を活かす アプローチは取り壊された家屋の基礎石で組み、池を通り、大きな吹き抜けの広間空間へ導いています。

住んでみて 良かった点・得したこと:

家族みんな:合併浄化槽によって生活排水を浄化でき、きれいな水を廻りの自然に返せること、環境共生ができるのが一番の満足です。 冬は暖かく、夏は涼しい風が気持ちよく抜け、冷房はほとんどしないです。(囲まれている部屋だけにしか必要はないです。)
長男(大学生):大きな吹き抜けの空間は、ゆったりできて気持ちがいいです。
奥様:バラバラな程の、様々な生活リズムを持っている家族内では、お互いに家族の気配を感じてよいです。 焼き杉板の外壁が好きです。自然な暖かい感じがして、自然に溶け込んで庭の木と一体感が生まれています。
子供達(大学生3人):友達が訪問しても家を自慢できます。
 

南外観/旧家屋の基礎石を組みなおしたアプローチは、合併浄化槽で洗浄された水で満たされた池を通り、内部へ導く。(撮影:北田英治)



夕暮れ時の南外観。(撮影:北田英治)



夕日が通る2階列柱廊と1階広間が包まれた空間/空気は家全体を巡っている。(撮影:北田英治)



1階広間から南をみる/大きな屋根の下の広い縁側になる。(撮影:北田英治)



北側外観/阿讃山脈から四国山地に抜ける空間、人はこの自然環境の一部となる。(撮影:北田英治)


 
 
採用している要素技術

1) 自然エネルギーを活かす工夫
★★★
2) 緑を活かして室内を快適にする工夫
★★★
3) 効率の良い省エネルギー型設備機器の活用
★★
4) 太陽エネルギーを積極的に活用する工夫
5) 暖かさを逃さない・暑さを入れない工夫
★★
6) エネルギーを大事にして家を建てる工夫
★★
7) 大切に長く住むための工夫
★★★
8) 環境配慮型建材等の活用
★★★
9) 自然素材の活用
★★★
10) シックハウス対策製品の活用
★★★
11) 室内の空気を清浄に保つ工夫
★★★
12) 誰もが安全で暮らしやすい工夫
★★★
13) 生活ごみを減らす工夫
★★
14) 水の使用量を減らす工夫
★★★
15) みんなに自慢できる素敵なまちにする工夫
★★★
16) 生き物や植物にとっても心地よいまちにする工夫
★★★
17) 心地よい庭つくる工夫
★★★
 
 

★:少しでもとりくんでいる ★★:積極的にとりくんでいる ★★★:主要なテーマとして、積極的にとりくんでいる

 
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