断熱改修のすすめ
>1-1)熱環境の現状を把握する

断熱改修の計画を立て工事を実施するためには、まず温熱環境の現状を把握する必要があります。温熱環境を把握する簡単な方法としては、普段体感する「夏の暑い場所・冬の寒い場所」、「夏涼しい場所、冬暖かい場所」といった情報を部屋ごとに整理してみるとよいでしょう。
また、温湿度計や専用の機械(サーモカメラ等)を使用することで、具体的な数値として温熱環境を把握することも可能になります。

今回は、サーモカメラとおんどとり(温湿度を一定間隔で自動的に計測し、そのデータを蓄積できる温湿度計)を使用して、温熱環境の把握を実施しました。

INDEX:
A:南側ベランダ | B:居間南側 | C:家事室西側 | D:主寝室北側 | 撮影結果
■居住者へのヒアリング

■サーモカメラによる撮影結果
平成19年8月に撮影


図1:サーモカメラ撮影箇所(A〜D)

 

■A:南側ベランダの写真(上:可視画像、下:熱画像)

ベランダの可視画像です。

 

・上階のベランダによって陰になっている床面@は、直射日光が当たっている床面Aに比べて温度が低い事がわかります。
・ガラスの写りこみにより、直射日光の照り返しが当たっている窓ガラスの一部Bは、周りと比べて温度が高くなっています。

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■B:居間南側の窓と壁面の写真(上:可視画像、下:熱画像)

 

・窓ガラス@の温度が、壁面Aに比べて温度が高くなっている。

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■C:家事室西側の窓と壁面の写真(上:可視画像、下:熱画像)
 

・窓ガラス@が壁面に比べて温度が高くなっている。また、直射日光が当たっているため、居間南側の窓ガラスよりも温度が高くなっている。
・梁Aの下部では、窓からの熱が伝わり周りの壁面に比べて温度が高くなっている。

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■D:主寝室北側の窓と壁面の写真(上:可視画像、下:熱画像)
 

・北側の窓ガラス@や壁面Aは、他の部屋に比べて日光の影響が小さいため温度が低くなっている。

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■撮影結果

サーモカメラの撮影により以下のことが確認できました。
@窓は壁や天井などに比べて温度が高い
⇒壁や天井に比べて窓は熱が伝わりやすい状況
A窓周りの壁や梁では、窓ガラスからの熱が伝わりやすく温度が高い
⇒窓だけでなく、その周囲にも熱の影響が及んでいる。

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■居住者へのヒアリング

居住者が感じる温熱環境や暮らし方に関して、ヒアリングを実施しました。
【温熱環境について】
・北側の寝室は、夏は涼しいが冬になると冷え込みが厳しく寒さを強く感じる。
・南側リビングダイニングに面した窓から隙間風が吹き込み冬は寒い。
・リビングダイニングに設置した床暖房により冬場は心地よい温熱環境が得られる。北側の主寝室にも床暖房を設置したい。
【その他居住性について】
・主寝室、納戸、家事室と区切られている部屋を主寝室とクローゼットに間取りを変更し収納量を増やしたい。
・バスルーム、トイレ、キッチンの設備器具を新しくしたい。
・暖冷房器具を新しくしたい。

⇒次回は、撮影結果と居住者ヒアリングを踏まえた上で、断熱改修の範囲や手法を検討します。

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